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揺らぐ絶対王制

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アフリカ・エスワティニからの報告/下 多発する強制立ち退き 国土6割「国王の土地」

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強制退去の際に窓ガラスが破壊された以前の自宅前に立つ農家のムピシ・ドラミニさん=エスワティニ東部のブブラネ地区で9月
強制退去の際に窓ガラスが破壊された以前の自宅前に立つ農家のムピシ・ドラミニさん=エスワティニ東部のブブラネ地区で9月

 地平線のかなたまで青々としたサトウキビ畑が広がるエスワティニ東部のブブラネ地区。「なぜ長年住み慣れた家を追われなければならないのか」。農家のムピシ・ドラミニさん(84)は5年前の強制退去事件の悔しさが頭から離れない。

 サトウキビ栽培と製糖業はエスワティニの基幹産業だ。一帯では英国統治下の1950年代、英政府系の開発公社がかんがい設備を整備して農場を切り開き、各地から移住した二百数十世帯が土地を借りてサトウキビ栽培で生計を立てるようになった。同公社が80年代に撤退すると、「土地は一定期間耕してきた自分たちのものだ」と主張する農家と、「開発公社から運営権を引き継いだ」とするエスワティニ政府系のファンドが対立した。ドラミニさんらの主張は最終的に認められず、一家は警察や軍によって自宅から無理やり追い出されたのだ。

 元の自宅はプールも備えた快適な一戸建てだったが、立ち退きの際に一部が壊された。その後の仮住まいには水道すらなく、妻が毎日、水くみ場まで往復20キロを歩く生活を強いられた。対立する政府系ファンドは「国民のため」とうたうが実際には王室が運営に深く関わり、「王族の私的な資金源になっている」との見方も根強い。このためドラミニさんら旧農場の住民グループは「王室が自分たちの土地を取り上げた」と訴え、抗議活動…

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