特集

キャンパスNOW

「キャンパスNOW2020」では大学の今を伝えます。

特集一覧

キャンパスNOW

大学受験2021秋(4)大阪公立大誕生 近畿圏の受験地図にインパクト絶大

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
大阪府立大と統合する大阪市立大。写真は同大学杉本キャンパス=大阪市住吉区
大阪府立大と統合する大阪市立大。写真は同大学杉本キャンパス=大阪市住吉区

 大阪府立大と大阪市立大の統合による大阪公立大の誕生は、2022年度入試(22年4月)における最大の話題といえる。入学定員約2850人の国内最大の公立大が生まれることにより、西日本の受験地図を変えるほどのインパクトがある。関西では大学の統合や学部・学科の新設などが目白押しだ。【中根正義】

2022年4月に近畿・中国・北陸地区で新設予定の主な大学 拡大
2022年4月に近畿・中国・北陸地区で新設予定の主な大学
2002年4月に近畿・中国・北陸地区で新設予定の学部・学科 拡大
2002年4月に近畿・中国・北陸地区で新設予定の学部・学科

近畿大が情報学部 学部長にプレステ開発者

 大阪公立大の開学について、受験関係者はどう見ているのか。同大学が関西圏では唯一、医学部と獣医学部を有することなどを踏まえ、大学通信常務取締役の安田賢治さんは「大阪大、東京大につぐ学生数全国3位の総合国公立大になるというだけでなく、1学域11学部があり、幅の広い教育や研究ができることは魅力です。今後、統合効果が生かされてくると、受験生の人気が今まで以上に高まるのでは」と期待する。

 では、受験生にはどんな影響があるのか。「統合により、定員が大きい工学部の後期試験がなくなります。国公立大を目指す理系志望の受験生の併願パターンが変わりそうです。京都大や大阪大、神戸大に加え、工学系の学部を持つ関西大や近畿大も巻き込んだ形で、併願パターンが変わるでしょう」と、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんは、予想する。

 工学系では来春、奈良教育大と法人統合する奈良女子大に、女子大初の工学部ができる。同大学では後期試験を実施するほか、前期では数Ⅲを課さないことが明らかになっており、工学系を目指す女子受験生の志望が高まりそうだ。

 法人統合や大学合併では、同一法人の兵庫医科大と兵庫医療大の統合も注目される。兵庫医療大の薬、看護、リハビリテーション学部を加えた新しい兵庫医科大は、医療系総合大として、重要度が増すチーム医療を担える高度人材の育成を目指す。

近畿大東大阪キャンパス=東大阪市 拡大
近畿大東大阪キャンパス=東大阪市

 学部新設では、情報学部ができる近畿大が話題だ。AI(人工知能)の活用やデータ分析などを扱う先端IT人材の養成を目指しており、学部長には家庭用ゲーム機「プレイステーション」を開発した元ソニー・コンピュータエンタテインメント社長の久多良木(くたらぎ)健氏が就任する。同大学は新学部開設を見据え、ドワンゴ社長の夏野剛氏が所長を務める情報学研究所を開設した。両氏が、どのような人材を育てるのか興味深い。

 データサイエンス系では、学部や学科の開設ではないものの、関西学院大が日本IBMと共同開発した「AI活用人材育成プログラム」に注目だ。同大学では全学開講科目として全10科目を実施している。AI・データサイエンスに関する基礎的な知識から、実際の現場で課題に取り組むプログラムまで、体系的に学べるように工夫され、受講する学生の評判も上々だ。

 このプログラムは企業や自治体、他大学からの引き合いもあり、オンラインでのサービス提供にも乗り出した。同大学はアウトドア用品メーカーのスノーピークと包括連携協定を結ぶなど、産学連携による教育や研究にも力を入れており、大学の魅力アップにつながっている。

 関西外国語大はカリキュラム改革で、AIなど新しい時代を生き抜くための学びにフォーカスした授業を展開している。英語国際学部では4月からスタート。SDGs(持続可能な開発目標)などの理解を深める「グローバルリベラルアーツ」、先端技術に対応する「AI&デジタルコミュニケーション」などで、来年4月には、外国語学部のカリキュラムも刷新する。

 ここ数年、学部・学科の新設では情報系とともに、「国際」「観光」などの分野が目立つ。コロナ禍により「国際」や「観光」は志望動向にブレーキがかかったものの、コロナ後を見据えた動きといえる。

 追手門学院大は国際教養学部を改組し、国際学部と文学部を開設する。国際学部は国際学科にグローバルスタディーズ、国際文化の両専攻を設け、ペンシルベニア大などの海外名門大への留学などにより、高度な英語運用能力を身につけることを目指している。将来的に国際機関やグローバル企業で活躍できる人材を育成するという。文学部では、日本文化への深い知識をベースに、国内外で活躍するクリエーティブな人材を育てる。

 摂南大は外国語学部を国際学部に改組。グローバル化が進む中、異文化や多様性に理解がある人材の育成を目指すという。

 桃山学院大は社会学部社会福祉学科をソーシャルデザイン学科に名称変更する。学びをより柔軟にして、福祉の現場へのインターンシップを充実させる。

 現在、コロナ禍により世界的に人々の移動が制限されているが、グローバル化は避けられない。アフターコロナを踏まえ、大学を卒業する4年後を見据えて志望校選びをしたい。

再編・改革 さらに

 関西では、2023年以降もキャンパス再編や学部開設などが続く。

 情報系では、大和大が情報学部の新設を目指している。同大学は14年創立と歴史が浅いが、手厚いキャリア支援で就職率が高い。昨年は理工学部、今春は社会学部を開設するなど、矢継ぎ早に総合大学への体制を整えている。

 龍谷大は23年春に心理学部の開設を構想中だ。コロナ禍や地球温暖化など、混沌(こんとん)とした社会の中で、仏教の精神が改めて注目されている。浄土真宗の精神を建学の精神とする大学だけに、どんな学部が誕生するのか気になるところだ。

 来春、国際観光学部を新設する大阪成蹊大は、24年度にかけて改革を一気に進める。大阪梅田駅から阪急京都線で14分の相川駅近くに新キャンパスを建設中で、23年にデータサイエンス、看護の両学部、24年に社会学部を相次いで開設する計画だ。

 立命館大は24年に情報理工学部を滋賀県草津市のびわこ・くさつキャンパスから大阪府茨木市の大阪いばらきキャンパスに移転、併せて映像学部も京都市の衣笠キャンパスから大阪いばらきキャンパスに移す。

 ところで、日本電産の永守重信会長が18年から理事長を務める京都先端科学大は、さまざまな改革に乗り出している。昨年は工学部機械電気システム工学科を開設したほか、今年4月に京都学園中高と法人合併し、同大学付属中高として中高大一貫教育をスタートさせた。22年4月には経営学研究科経営管理専攻(MBA)の設置も予定している。一代でグローバル企業に成長させた名物経営者がどんな人材育成をしようとしているのか、目が離せない。

 18歳人口の本格的な減少期を迎え、各大学とも生き残りをかけて、さまざまな改革に乗り出している。どんな教育や研究をしようとしているのか、受験生も気になる大学の動向をしっかりウオッチしてほしい。

あわせて読みたい

注目の特集