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大学受験2021秋(5)九州・山口地区で面倒見のいい大学といえば……

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「面倒見が良い」「就職に力を入れている」などの項目で進路指導教諭の評価が高い福岡工業大=福岡市東区
「面倒見が良い」「就職に力を入れている」などの項目で進路指導教諭の評価が高い福岡工業大=福岡市東区

 今の高校3年生は、コロナ禍により2年次から学校生活に影響が出ている。満足に課外活動も行えず、大学進学希望者にとっては、進路選択に役立つオープンキャンパスに行くこともできなかった。そうした中で、どう志望校選びをすればいいのだろうか。【中根正義、写真も】

ミスマッチ解消へ、教育関係者アドバイス 志望校選びでランキング指標も参考に

進路指導教諭が勧める大学(「面倒見が良い」のみ全国ランキングを掲載) 拡大
進路指導教諭が勧める大学(「面倒見が良い」のみ全国ランキングを掲載)

 今、教育関係者が心配しているのは、新型コロナウイルスの感染が若年層にも拡大していることだ。受験シーズン本番を迎える中、不安感を増す受験生が過度な安全志向に走り、志望校の教育内容をよく調べずに入学し、ミスマッチを起こすことを危惧している。

 大学通信常務取締役の安田賢治さんは「オンラインによるライブ配信型の学校説明会を各大学が積極的に実施しています。オンラインであれば、遠方の大学の催しにも気軽に参加できるので、受験勉強の合間に息抜き感覚で活用するのもいいのではないでしょうか」とアドバイスする。安田さんがさらに勧めるのは、通学している学校のベテランの進路指導教諭に相談することだという。「いろいろな大学の特徴や入試制度にも精通しているので参考になります。マスコミ各社が取り上げている大学のランキング指標なども役立ちます」と話す。

 ランキングについては、大学通信が2005年から全国の進学校2000校の進路指導教諭にさまざまな項目でオススメの大学を聞いている。今年は739校から回答を得た。進学のプロである進路指導教諭は、どんな大学を評価しているのだろうか。その中には穴場になりそうな大学も含まれており、併願作戦を考える時の参考になりそうだ。

 ランキングで最初に注目したいのが「面倒見が良い大学」だ。全国の進路指導教諭がイチオシなのが、調査開始以来、17年連続でトップを走る金沢工業大だ。同大学は国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)に全国の大学に先がけて取り組んでおり、SDGsによる高大接続にも積極的だ。そうした姿勢が全国の進路指導教諭から評価されている。

 この全国ランクのトップ15には、九州・山口地区の大学で福岡工業大と九州工業大がランクインしている。両校とも高い就職力を誇っており、表にはないが、「就職に力を入れている」といった項目でも全国で九州工業大が3位、福岡工業大が5位に入っている。九州工業大は有名企業への就職者数で九州大をしのぐ実績を上げている。

 福岡工業大の高評価については、「在学生への生活面も含めたきめの細かいサポートをしています。各地の高校とのネットワークを大切にし、卒業生の大学入学後の様子などをきちんとフィードバックしており、就職面でも『最後の一人まで面倒を見る』という姿勢が高い評価につながっているようだ」と大学通信の安田さんは指摘する。

 ちなみに、両校は九州・山口地区の進路指導教諭が「大学入学後、生徒を伸ばしてくれる」という項目でも高い評価をしている。この2校以外には、宮崎国際大、長崎県立大、立命館アジア太平洋大(APU)が上位に名を連ねている。

 APUと宮崎国際大はグローバル教育に力を入れており、同大学国際教養学部は外国人教員が全体の約80%を占める。その比率は全国トップクラスで、ほぼすべての授業が英語で行われているという。APUは94カ国・地域からの学生が集う国際色豊かな大学として知られ、講義のほとんどが日本語と英語の2言語で開講されている。

 長崎県立大は1902(明治35)年創立の同県立高等女学校が源流の一つで、公立大として古い歴史を持つ。経営、地域創造、国際社会、情報システム、看護栄養の5学部からなり、県内の離島に滞在し、チームでフィールドワークをしながら課題解決に取り組むプログラムや長期インターンシップ、海外ビジネス研修など、実践的な学びが多いのが特徴だ。学生の資格・免許取得にも注力する。

 公立大では九州・山口地区の進路指導教諭が選ぶ「面倒見が良い」大学の5位に北九州市立大が入っている。同大学は学生数が約6700人と、県庁所在地ではない市が設置する公立大としては最大の総合大学だ。職員カウンセラーによる就活サポートが充実し、地元企業との連携にも積極的に取り組んでいる。

 次に、「改革力が高い」を見てみよう。1位の佐賀大は学生の学びを能動的にさせるアクティブラーニングのための環境整備に注力しているほか、産学連携のためのキャンパス内への企業誘致や、国立総合大として唯一の美術館がある。2位の九州大は2018年に福岡市の伊都地区へのキャンパス移転を終えた。教育・研究環境が整備された真新しいキャンパスは、「生徒に人気」の項目で2位と高い評価を得ている。

「改革力が高い」といった項目で九州・山口地区の進路指導教諭の評価が高い九州産業大=福岡市東区 拡大
「改革力が高い」といった項目で九州・山口地区の進路指導教諭の評価が高い九州産業大=福岡市東区

 改革力の高さでは、九州産業大も高評価だ。同大学は文系から理工系、芸術系と幅広い学部系統を持ち、そのスケールメリットを生かし、地域や企業、行政と連携したプロジェクト型教育やキャリア教育にも力を入れている。また、教員と職員が協働した入試改革を進めており、近年、高校現場の評価が高まっている。

「生徒に人気」で九州・山口地区で1位となった福岡大の七隈キャンパス=福岡市城南区 拡大
「生徒に人気」で九州・山口地区で1位となった福岡大の七隈キャンパス=福岡市城南区

 「生徒に人気」の項目のトップは福岡大だ。医学部、薬学部も含め9学部31学科からなる九州地区最大の総合私立大だ。JR博多駅から地下鉄を乗り継いで約30分という交通至便の地に全学部があることが人気の秘密だろう。この項目では九州大、鹿児島大、熊本大、西南学院大といった九州の伝統校が勢ぞろいしている。

 表にはないが、工学部とデザイン学部の2学部からなる西日本工業大は就職率がほぼ100%を誇る。工業とデザインの融合を掲げ、地域連携や産学連携を進めており、地元企業へのインターンシップを積極的に行っている。また、中学校教諭や高校教諭の免許状が取得でき、福岡県教員採用試験では工業の高校教員合格者のうち、同大学出身者が全体の3分の1を占めるなど高い実績を上げている。

 進学のプロが勧める大学には、偏差値だけでは分からない魅力が隠されている。ぜひとも志望校選びの参考にしてほしい。

令和健康科学大、来春開学

2022年4月に新設予定の大学や、学部・学科を再編、新設する主な大学(九州・山口地区) 拡大
2022年4月に新設予定の大学や、学部・学科を再編、新設する主な大学(九州・山口地区)

 2022年春は、九州・山口地区の大学や学部・学科の新設・改組は小幅にとどまりそうだ。その中で注目は令和健康科学大(福岡市東区和白丘)の開学だろう。看護学部看護学科とリハビリテーション学部理学療法学科・作業療法学科の2学部3学科からなる。

 設置母体は首都圏や福岡県周辺で27の一般病院やリハビリテーション病院のほか、専門学校を運営するカマチグループ傘下の学校法人・巨樹の会だ。学長に就任予定の熊本大・西村泰治名誉教授は「高齢化社会が進む中、地域医療では、医療・保健・福祉の連携が重要になっている。そうした課題に取り組める人材を育成していきたい」と意気込む。

 同大学では、臨床実習から就職までグループ内の病院施設との連携を深めることで学生のバックアップ体制を充実させるという。ちなみに、福岡市東区には福岡工業大や九州産業大、福岡女子大があり、医工連携など大学間の連携も期待されている。

 このほか、熊本大教育学部は、これまで小学校と中学校などで分けていた4課程を1課程に再編する。小・中一貫教育などに対応した教育ができる体制に移行する。

 崇城大は生物生命学部に生物生命学科を設置する。2年次から応用生命科学、生物機能科学の2コースに分かれ、医薬、食、環境といった分野の生命科学のスペシャリストを育てる。

 表にはないが、東海大はキャンパスの再編に伴い、熊本キャンパスに文理融合学部や農学部に新学科が新設される。

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