絶対に壊れない堤防はない 2年前の千曲川氾濫 専門家の警鐘

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台風による大雨で増水、氾濫した千曲川。中央下の堤防が決壊した=長野市穂保で2019年10月13日、本社ヘリから撮影
台風による大雨で増水、氾濫した千曲川。中央下の堤防が決壊した=長野市穂保で2019年10月13日、本社ヘリから撮影

 「住民の方から『千曲川の堤防は、越水しても絶対に決壊しないと思っていた』と聞き、危機感を持った」。信州大学工学部の吉谷純一教授(河川工学)が振り返る。2019年10月の台風19号で千曲川の堤防が決壊し、大きな被害を受けた長野市長沼地区を調査に訪れた時のことだった。【田倉直彦】

 2年前の水害の発生を、研究活動のため滞在中の中東ドバイで知った。茶色の水に覆われた街並みの姿に目を疑った。「ネットで記事を読み、台風のことも知っていたが、こんなことになるとは信じられなかった」。急いで帰国し、調査にあたった。「どれだけ堅固に作っても堤防は増水時に絶対壊れないものではない。設計上耐えられるところまではもつが、それ以上では決壊する。限界がある。過信は禁物」

 千曲川流域はたびたび洪水の被害に見舞われてきた。国土交通省千曲川河川事務所の資料によると、最古では888(仁和4)年に記録があるといい、特に江戸時代の1742(寛保2)年の洪水は2800人が死亡したといい、流域史上最大の被害を出したとされ「戌(いぬ)の満水」と呼ばれる。

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