「ふざけんじゃねえよ」 17年営むバー閉店、不安の再出発/2
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新型コロナウイルスの感染拡大は、多くの飲食店が営業や酒類提供を取りやめざるを得ない事態を招きました。連載企画「衆院選・コロナ下の選択」の第2回は17年間営んだバーを閉店し、再起を図ろうとしている男性の思いを取材しました。キャンセルが相次ぎ、かつてない危機を迎えた京都市の老舗旅館を取り上げる第3回は14日朝に掲載します。
時短営業、致命的に
新型コロナウイルスの感染拡大が社会に大きな影響を与えたこの1年半余、多くの飲食店が厳しい状況に追い込まれた。東京都町田市で17年間営んだバーを閉店した店主、中山正和さん(51)も苦い思いを味わった一人だ。月内にも居酒屋を開店して再起を図ろうとしている中山さん。今後、新たな緊急事態宣言が出されることなく、長いトンネルを抜ける日は訪れるのか。期待と不安の中で再出発の時が近づいている。
中山さんが町田市で開店を予定しているのは居酒屋「肉料理やまなか」。「近日オープン予定」との張り紙を出して約3カ月、緊急事態宣言とその延長のために開店に踏み出せない日々が続いた。汚れて黄ばんだ張り紙は中山さんのもどかしさを物語るように見えた。
中山さんは2003年、ソフトウエア会社から脱サラし、JR町田駅近くの商店街に「イングリッシュパブ・トラファルガー」を開いた。国内外の生ビールを10種類以上そろえ、英国調のこだわりの店内はドラマの撮影にも使われた。サッカー・ワールドカップをテレビで流す時期は、1日に120人もの客が足を運んでくれた時もあった。
午前2時まで営業していた店にとって、コロナ下の時短営業は致命的だった。20年4月に初めて緊急事態宣言が出た時は弁当のテークアウトで乗り切ろうとしたものの、売り上げは振るわない。宣言が解けても客数は前年の4割にとどまり、赤字を借金で埋める日々が続く。2度目の宣言が出されるのが決まった今年1月に「もう潮時だ」と感じ、当初予定した時期を早めて閉店した。最後の営業日に来てくれた客は1人か2人ぐらい。名残を惜しむ間もなく、17年間、懸命に営んできた店は終わった。
「夜遅くまで営業して酒に頼るやり方は限界だ」。中山さんが再び店を営むために決断したのは、…
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