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ソニーが見捨てたパソコン「VAIO」 小さな会社から再び世界へ

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VAIOの新製品発表会で、個人向け製品や海外展開の強化を表明した山野正樹社長(右)と林薫PC事業本部長=東京都港区で2021年10月13日午後1時55分、加藤美穂子撮影
VAIOの新製品発表会で、個人向け製品や海外展開の強化を表明した山野正樹社長(右)と林薫PC事業本部長=東京都港区で2021年10月13日午後1時55分、加藤美穂子撮影

 「ソニーを見返す」。7年前に不採算事業として、ソニーグループから切り離されたパソコンメーカー「VAIO」が復活の道を歩んでいる。スマートフォンやタブレットが普及し、先行きが不安視されていたが、ここまで6年連続で黒字決算を維持し、売上高は独立直後に比べ約3倍になった。大企業の花形事業から、長野県が本社の小さな企業になったVAIOはなぜ復活できたのか。

 「独立後7年間は法人向け製品に一丸となって取り組んできた。今後は個人向けも再強化し、海外でもより多くのお客様へ製品を届けたい」。13日の新製品発表会で、山野正樹社長はVAIO再生を次のステップに進めることを宣言した。

 高機能とスタイリッシュなデザインの両立。それが、ソニー時代から変わらない「VAIOらしさ」だが、この日は、学生でも買いやすい7万円台の新製品から、50万円台の専門職向けの上級機種まで、幅広いラインアップの商品を発表。独立後7年を経て再び攻勢に出ることを印象づけた。

 「市場に一石を投じてきたブランド。苦渋の決断をした」――。2014年2月、ソニー社長だった平井一夫氏は記者会見で、VAIO事業を投資ファンド「日本産業パートナーズ」に売却すると発表した。

 薄型でシルバーカラーという今も主流のパソコンデザインを生み出したVAIOは、1990年代~00年代初頭に一世を風靡(ふうび)した。ソニーらしく、デジタルカメラとの通信機能など、エンターテインメントツールとしての機能もいち早く付けた。

 11年3月期には、世界出荷台数は約870万台を数え、世界トップテンに入るブランドに。しかし、規模を追った結果、価格競争に巻き込まれたのに加え、スマホにも押されて、14年3月期は、出荷台数が3分の2の約560万台まで減少し、917億円もの営業赤字に陥った。「クールなパソコン」の座は既に、スマホとの連携に優れたアップルに奪われていた。

「大企業の花形」から長野に、人員5分の1

 ソニーグループから切り離され、本社を開発拠点である長野県安曇野市に移転。人員も約1100人から約240人へと5分の1に縮小した。

 この逆境…

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