米国とイラン対立の最前線のイラク 軍事・政治面で変化の兆し
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2001年9月の米同時多発テロをきっかけに、アフガニスタンと並んで米国が「テロとの戦い」を展開したもう一つの国がイラクだ。米軍主導の有志連合は03年に当時のフセイン独裁政権を打倒。その後、イラクでは隣国イランが影響力を拡大したが、変化の兆しも表れている。対立する米イラン両国の狭間(はざま)で揺れるイラクで今、何が起きているのか。【バグダッド真野森作、ワシントン鈴木一生】
フセイン政権の崩壊後、混迷と戦火の道
「フセイン時代は全てにおいて暗黒だった。米国による政権打倒は良かったが、その後、米国はイラクに混乱を生み出した」
イラク政府傘下のイスラム教シーア派民兵組織・人民動員部隊(PMU)の地方旅団司令官、アドナン・アルシマーニ氏(53)はバグダッドの事務所でこう強調した。博士号を持ち、シンクタンクも主宰する学究肌で知られる人物だ。
確かに戦後のイラクは平和を享受できず、混迷と戦火の道をたどってきた。
イスラム教スンニ派主体だったフセイン政権の崩壊後、イラクでは国民の6割を占めるシーア派勢力が台頭。06年には両派の対立が激化し、一時内戦状態に陥った。さらに11年にいったん米軍が撤退した後、スンニ派系の過激派組織「イスラム国」(IS)が伸長する。ISは14年にはイラクとシリア両国にまたがる広大な領域を暴力で支…
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