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常夏通信

戦没者遺骨の戦後史(61) 沖縄から入閣「西銘発言」の重大さとは

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沖縄県名護市辺野古で進む基地新設のために使われる土砂の採掘候補地。付近には沖縄戦戦没者の遺骨が今も埋まっている可能性が高い=沖縄県糸満市で2021年6月21日、栗原俊雄撮影
沖縄県名護市辺野古で進む基地新設のために使われる土砂の採掘候補地。付近には沖縄戦戦没者の遺骨が今も埋まっている可能性が高い=沖縄県糸満市で2021年6月21日、栗原俊雄撮影

 4日に岸田文雄内閣が発足し、西銘恒三郎衆院議員(67)=自民党・沖縄4区選出=が復興相兼沖縄・北方担当相に就任した。5日に行われた就任後初の記者会見では、東日本大震災からの復興や北方領土問題などのほかに、沖縄県名護市辺野古で進む米軍基地建設についての質問があった。政府の土砂の採取候補地に沖縄戦犠牲者の遺骨が残る本島南部が挙げられていることについて、西銘担当相は「常識としてどうか」と疑義を呈した。「所管外」に踏み込んだ異例の発言だ。【栗原俊雄/学芸部】

「西銘発言」とは

 記者会見でのやりとりはこのようなものだった。

 記者 本島南部からの土砂の採取計画を防衛省が計画しているということで、防衛省は計画の存在について明言されていない。沖縄出身の大臣として、この計画についての受け止めについて教えていただければ。

 西銘復興相兼沖縄・北方担当相 所管外のことをしゃべるつもりはないんですけれども、あれだけの激戦地で、まさか、よもや、防衛省は今、あの南部の土砂を使うということはないというふうに聞いて承知しておりますが、それを考えても、遺骨が入ったものを埋め立てに使うということは、一般論として、常識としてどうなのかなという思いはあります。

 西銘担当相の政治活動のテーマは「一番南から日本を変える」とのこと。

 毎日新聞を含めた翌6日の本土の新聞各紙を見る限り、この質疑についてきちんと解説した記事は見当たらなかった。しかし、一年中戦争報道=「8月ジャーナリズム」をやっている常夏記者であり、2006年から15年戦没者遺骨の問題を取材している私にとっては、非常に重要な問答であった。

 第二次世界大戦末期、沖縄では激しい地上戦があったのは周知の通りだ。ことに南部は民間人、軍人とも被害が多く、今も遺骨が見つかっている地域だ。血肉も染み込んでいる。沖縄で40年近く戦没者遺骨の収容を行っている具志堅隆松さん(67)は「(この地域の土を使用するのは)人として間違っている」と批判する。県外からの批判も高まっている。そういう状況で西銘氏が「所管外のことをしゃべるつもりはない」と前置きしつつも、踏み込んだ発言をした意味は大きい。

野党は反対、与党公明党は慎重論

 新内閣発足に先立つ9月、具志堅さんが代表を務める市民団体「ガマフヤー」は、各政党に「沖縄本島南部土砂採取計画に関する公開質問」を行った。…

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