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体制維持図る北朝鮮 米朝再交渉の前哨戦か=慶応大名誉教授・小此木政夫

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金正恩総書記の映像が流れるテレビニュースを見つめるソウル市民=ソウル駅で9月30日、AP
金正恩総書記の映像が流れるテレビニュースを見つめるソウル市民=ソウル駅で9月30日、AP

 冷戦時代の米ソ対立ほどではないが、米中対立は地政学的な色彩を帯びた体制競争として長期化しそうである。しかし、朝鮮半島をめぐる米中対立は、体制競争である以上に地域紛争である。北朝鮮の非核化問題も、核不拡散というグローバルな課題の一部であるが、朝鮮半島の分断と統一という地域紛争に端を発している。言い換えれば、グローバルな課題と地域的な課題を適切に整理することなしには、いずれの問題も解決されないのである。

 米バイデン政権は1月の発足と同時に北朝鮮政策の全面的な再検討に入り、4月末に完了した。ホワイトハウスのサキ報道官は政策の目標が「朝鮮半島の完全な非核化」であると強調したうえで、トランプ前大統領のように「グランド・バーゲン」(一括取引)に執着したり、オバマ元大統領のように「戦略的忍耐」に依存したりしないと主張した。新政策は「注意深く調整された、実用的なアプローチ」と表現されたのである。

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