AI利用で「失敗しない家庭菜園」 自給自足を促進、滋賀大など研究

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専用アプリを使うと、野菜の育ち具合を常時観察できる=大津市平津2の滋賀大教育学部で2021年10月4日午後4時2分、伊藤信司撮影 拡大
専用アプリを使うと、野菜の育ち具合を常時観察できる=大津市平津2の滋賀大教育学部で2021年10月4日午後4時2分、伊藤信司撮影

 ビッグデータやAI(人工知能)を利用し「失敗しない家庭菜園」を目指す共同研究に、滋賀大(本部・滋賀県彦根市)とプランティオ(本社・東京都渋谷区)が取り組んでいる。ビルの屋上やベランダ、学校農園などで確実に収穫をしてもらい、将来的には野菜の自給自足も進めようという壮大なプロジェクトだ。

 2020年度グッドデザイン賞に選ばれた同社のセンサーを活用する。クラウドファンディングに応じた約160人にセンサーを配布し、各地で試験的な栽培が始まっている。

一つ目のキャラクターのようなセンサーを使って実験室で野菜を育てている森太郎准教授=大津市平津2の滋賀大教育学部で2021年10月4日午後3時45分、伊藤信司撮影 拡大
一つ目のキャラクターのようなセンサーを使って実験室で野菜を育てている森太郎准教授=大津市平津2の滋賀大教育学部で2021年10月4日午後3時45分、伊藤信司撮影

 同社の技術は、(1)菜園に差したセンサーが土壌水分量や温度、照度、外気温、外湿度を測定(2)無線LANでクラウド上にデータを蓄積(3)AIが分析し、水やりや間引きなどのタイミングをスマートフォンなどに通知する仕組み。21年7月から滋賀大の准教授2人が参加し、システムに磨きをかけることになった。

 教育学部の森太郎准教授(39)は実験室内に北海道、本州、沖縄の気候を再現。ニンジン、ルッコラ、ラディッシュを育て、AIなどの精度を高めている。タブレット端末などを活用し、学校現場でも先進的な農業体験を広めたいという。「経験や勘に頼っていた学校農園にデジタル技術を導入し、未来の農、食料、環境への関心を高めたい」と話す。

 データサイエンス学部の岩山幸治准教授(37)は同社から約260種の野菜データベース、栽培履歴などの提供を受け、環境と生育の関係を数学的に分析する。家庭菜園でもビッグデータを集めれば、正確な生育予測ができると考えている。さらに「個人で野菜を育てるハードルが下がれば、将来的に食料自給率アップ、食糧難の解決につながるはずだ」と意気込んでいる。

 プランティオによると、芹澤孝悦社長(41)の祖父は現在普及しているプランターの発明者。経済成長で緑や畑が消えていった時代に、団地のベランダでも楽しめる長方形の容器を考案したという。芹澤社長はその志を受け継ぎ、現代人が手軽に野菜を育て、味わえるシステムを発想した。

 専用アプリのSNS(会員制交流サービス)を使えば、栽培仲間や専門家からアドバイスを受けられ、レシピ情報、収穫物交換などの輪を広げられるという。新型コロナウイルス禍による半導体不足でセンサー販売は中断しているが、定価2万9800円で再開する方針。問い合わせはメール(info@plantio.com)で。【伊藤信司】

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