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母、兄を失った女性 コロナ下の「さよなら」なき死別に向き合う

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入院患者の病室に続く階段やエレベーターの前に大きく張り出された「面会禁止」の文字=福岡県内で2020年4月23日、徳野仁子撮影
入院患者の病室に続く階段やエレベーターの前に大きく張り出された「面会禁止」の文字=福岡県内で2020年4月23日、徳野仁子撮影

 新型コロナウイルス下で家族をみとれず、亡きがらにも対面できなかった遺族らは後悔や悲しみなど、さまざまな感情を抱き続ける。家族と死別した人を支える一般社団法人「リヴオン」(東京都)が今春、冊子「コロナ下で死別を経験したあなたへ」を配布したところ、多くの反響が寄せられている。制作したのは、母親が自殺し、兄が孤独死した代表理事の尾角光美(てるみ)さん(38)。コロナによる死別と同様に「さよなら」のない別れを経験したことがきっかけだった。【生野由佳/デジタル報道センター】

 <危篤でも病院に行けず、みとることもできなかった。入院に送り出したのが最後の姿。後悔だけが残り、立ち直れない。人に話せず、引きこもってしまい、また泣くという繰り返し>(母親を亡くした女性)

 <死に目に会えなかったことだけでもつらいのにコロナで亡くなったと周囲に言いづらい状況がある>(夫を亡くした女性)

 <コロナ禍で面会は中止。会うことも話すこともできぬままに、母親のお骨と対面することになったのが悲しくてならない。病院に入院することもできなかった。クラスター(感染者集団)が発生したのは施設側が入院措置を取らなかった人災だと思っている>(入所施設で母親を亡くした女性)

 <最期にも立ち会えなかった悲しさは、コロナ以前はなかった問題。もう命が危ない状態でも病院は面会禁止。一目会うことさえ許されなかったこと、ずっとつらく忘れることはできない>(夫を亡くした女性)

 「リヴオン」に届いた遺族のメッセージだ。悲しみだけでなく、怒りや失望、そして死を実感できないという「さよなら」のない別れに苦しむ声だった。どのような感情も遺族自身が受け止め、大切にできる情報を発信したい。その思いから制作したのが、冊子「コロナ下で死別を経験したあなたへ」。特定の宗教や思想を支持したり、否定したりはしていない。一連の活動は、尾角さんの生い立ちに原点がある。

母の自殺に自身を責め、そして安堵…

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