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加藤陽子の近代史の扉

加藤陽子・東大教授がニュースの意義や位置づけを「歴史の文脈」から読み解きます。

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加藤陽子の近代史の扉

謀略と世論 政治家を葬ろうとした旧陸軍

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左下は、前列左から張学良、1人おいて蔣介石。右下は、満州事変で張学良の本拠地・北大営に入る日本軍
左下は、前列左から張学良、1人おいて蔣介石。右下は、満州事変で張学良の本拠地・北大営に入る日本軍

 10月7日の夜に起きた地震は、東京都や埼玉県を中心に最大震度5強を記録した。東京23区でのこの規模の揺れは、2011年の東日本大震災以来のことだという。

 翌日から国土交通省荒川下流河川事務所のツイッター投稿が話題になった。東京都江戸川区小松川のある地点の固定カメラが記録した地震発生時の編集動画だ。水中の魚が一斉に跳ねて川面におびただしい波紋を作った後、川岸の鳥が一斉に低く対岸へ飛び立つ。ふだんは見えない存在が地震によって表に引き出された動画はとても面白かった。

 地震のP波に反応する魚とS波に反応する鳥の対比の妙はさておき、なぜ面白かったのかを考えつつノーベル平和賞の発表を見る。今年はフィリピンのドゥテルテ政権の強権性を批判してきたマリア・レッサ氏と、ロシアのプーチン政権による人権侵害を暴いてきたドミトリー・ムラトフ氏が選ばれた。夜の川にすむ魚と鳥の姿を地震の力が可視化したのと同じく、社会の見えない権力構造を可視化するのは2人のような記者の力なのだろう。…

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