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佐藤優・評 『ムッソリーニの正体 ヒトラーが師と仰いだ男』=舛添要一・著

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『ムッソリーニの正体 ヒトラーが師と仰いだ男』
『ムッソリーニの正体 ヒトラーが師と仰いだ男』

 (小学館新書・968円)

融通無碍な実用主義が裏目

 ヒトラーのナチズムとムッソリーニのイタリア・ファシズムは、20世紀の巨悪としてファシズムという同じ範疇(はんちゅう)で括(くく)られるのが通例だが、そのような単純な見方だとファシズムの危険性を過小評価してしまう。<「ファッショ」という言葉は、イタリア語で「束(たば)」という意味です。イタリア語で、単数形がfascio(ファッショ)、複数形がfasci(ファッシ)です>。ファシズムとは国民を戦時下の動員の精神で束ねて国家を強化する運動だ。

 特に労働者と資本家の対立を克服することをムッソリーニは意図した。<経営者団体と労働組合は対立するのではなく、協調して国家を支えるべきだという思想の下に、ムッソリーニは、財界と労働組合をファシスト体制に取り込む作業も進めていきました>。思想的には自由主義的経済観と社会主義的経済観の双方を国家主義によって乗り越えようとした。<ムッソリーニは、イタリア社会主義もボルシェヴィズムも否定し、階級闘争ではな…

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