特集

第49回衆院選

岸田文雄首相が衆院選を10月19日公示、31日投開票で実施すると表明。短期決戦の選挙戦となります。

特集一覧

衆院選・米国からの提言

方向性は正しかったアベノミクス 結果出ず、企業は「守り」に/4

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
インタビューに応じるシンクタンク「米ジャーマン・マーシャル基金」上級研究員のクリスティ・ゴベラ氏=ワシントンで2021年10月14日、秋山信一撮影
インタビューに応じるシンクタンク「米ジャーマン・マーシャル基金」上級研究員のクリスティ・ゴベラ氏=ワシントンで2021年10月14日、秋山信一撮影

 4年ぶりの衆院総選挙は19日に公示され、31日に投開票日を迎える。唯一の同盟国である米国からは、日本がどのように見えているのか。新進の日本研究者に聞いた。全4回の最終回はシンクタンク「米ジャーマン・マーシャル基金」のクリスティ・ゴベラ上級研究員に尋ねた。

 米国が離脱した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を日本が主導してまとめたことは、米国内の自由貿易推進派から高く評価された。20年前には米国の圧力を受けずに日本が自由貿易を推進するとは誰も期待していなかった。日本が通商分野で国際的指導力を発揮するようになったのは、21世紀に入ってから最も大きな変化の一つだ。

 ただ、TPPや欧州連合(EU)との経済連携協定は、アベノミクスの「第三の矢」である成長戦略における数少ない成功例だ。

 女性の社会進出や生産性の向上、外国からの投資呼び込みなど、アベノミクスの方向性は正しかった。政府のトップが目標を示すことで、社会を変える勢いが生まれる。問題を提起し、長期的なビジョンを示したことには意義がある。

分配は成長を妨げるかも

 しかし、アベノミクスはどう改革を機能させるのかという点で結果を出せなかった。例えば、多くの企業がリスクを嫌って投資に消極的になり、資本を抱え込む状況は変わらなかった。課題は明確だが、リスクの考え方や企業風土を一変させるのは非常に難しい。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、ますます考え方は守りに入った。

 長年アベノミクスを経験してきた国民は、日常生活で目に見える変化を望んでいる。コロナ禍で社会福祉政策への期待も高まった。総選挙で与野党が共に富の「分配」を強調しているのは、有権者の期待に応えようという表れだ。

 分配は成長の妨げになる可能性もある。例えば、分配するために増税しようとすれば、株式市場は否定的な反応を示すだろう。経済成長と分配の理想的なサイクルを持続させていくのは難題だ。

 ただ…

この記事は有料記事です。

残り685文字(全文1500文字)

【第49回衆院選】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る
この記事の筆者
すべて見る

注目の特集