不登校の小中学生が昨年度、全国で19万人を超え、過去最多となった。新型コロナウイルスの感染拡大が背景にあるとみられる。
病気や経済的事情など以外の理由で、30日以上学校へ行かないと不登校と判断される。文部科学省は「友達との交流など学校生活が制限を受け、登校意欲が湧きにくい状況にあった」と説明する。
感染の収束は見通せず、学校生活がいつ正常化するかは分からない。不登校問題への対応は、教育現場の喫緊の課題である。
大切なのは、子どもたちの不安を和らげ、孤立させないことだ。
従来、教室に行けない子どもの受け皿となってきたのは保健室だ。心のケアにあたる存在としてスクールカウンセラーも配置されている。
しかし、それだけでは対応できなくなっている。
友達と一定の距離を保つよう求められる。給食の時間は全員が前を向いての「黙食」が定着した。カウンセリングを必要とするほどではないものの、強いストレスを感じる子どもが増えている。
そうした子どもたちのために、教育支援に取り組む民間団体に依頼して、遊びながら悩みや不満を聞いてもらえる場を校内に設けた学校もある。
学校に来られなくなった子どもが落ち着ける居場所を増やすことも大切だ。自分の存在が周囲から受け入れられていると思える環境づくりに、学校や教育支援センター、フリースクールなどが地域ぐるみで取り組む必要がある。
学校での感染を避けるため、長期にわたって登校を控えている子どももいる。文科省によると、小中高校で昨年度、計約3万人に上った。
不登校とは異なるが、共通しているのは、社会を覆っている不安が背景にあることだ。
登校しない期間が長引くと、学校に戻る意欲が薄れる懸念も拭えない。
オンラインで授業を受けられる環境を整え、学びを守りながら、同級生や教師との関係を保つ対策も必要ではないか。
子どもは人とのつながりから安心感を得るとともに、生きる力を身につける。社会全体で成長を支えていかなければならない。