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卵子凍結は女性にとって福音か 生殖補助医療、生命科学の光と影

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卵子凍結をしたクリニックを訪れたエイミー・グエンさん=米西部サンフランシスコで2021年9月7日、福永方人撮影
卵子凍結をしたクリニックを訪れたエイミー・グエンさん=米西部サンフランシスコで2021年9月7日、福永方人撮影

 生殖補助医療は本当に女性にとって福音なのか。例えば卵子凍結。女性の卵子の老化という「生物学的時計」を止め、出産時期を遅らせることで、人生設計の幅を広げると期待される。米国では、大手IT企業を中心に、こうした生殖補助医療の費用を社員に補助する動きが広がっている。だが、こうした技術に私たちはどこまですがっていいのだろうか。

「時計」を止める

 洗面所で自ら腹部に2本のホルモン注射を打つ。注射器を持つ右手は震え、痛みで少し顔がゆがむ。「これを毎晩やらないといけない」「上出来ではないけど、できた」。動画には、こうしたコメントが絵文字入りで書かれている。

 米西部サンフランシスコの会社員、エイミー・グエンさんは、35歳になった直後の2020年12月、近所のクリニックで卵子13個を凍結保存した。そして、写真共有アプリ「インスタグラム」でその過程を「実況」した。ホルモン注射は採卵前に卵巣を刺激し、卵子を成長させるためのものだ。「子供はほしいけど、『生物学的時計』にせかされたくない」「肩の荷が下りた気分」。一連の投稿には、「自撮り」で率直な思いを語る動画もある。

 「卵子凍結について多くの女性に知ってもらい、恐れずにやってみるきっかけになればと思いました」。…

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