高度経済成長の負の縮図… 瀬戸内海から国を動かした豊島事件

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兵庫県警が強制捜査に踏み切った時の豊島。中央に小山のように積まれた産廃が見える=香川県土庄町で1990年11月16日、本社ヘリから
兵庫県警が強制捜査に踏み切った時の豊島。中央に小山のように積まれた産廃が見える=香川県土庄町で1990年11月16日、本社ヘリから

 国内最大級の約90万トンに上る産業廃棄物不法投棄事件が起きた香川県土庄(とのしょう)町・豊島(てしま)。住民側と県は17日、2023年春までに処理事業を終了することで合意した。瀬戸内海の離島に業者が大量の産廃を持ち込んで約40年、公害調停の成立と処理開始から約20年の歳月を経て見えたゴールだ。不法投棄の代償の重大さを示し、日本の環境行政に影響を与えた問題は節目を迎えるが、汚染状況の監視、傷ついた島の再生という課題が残る。【潟見雄大、鈴木理之】

 「ようやくここまで来た」。17日に高松市であった豊島廃棄物処理協議会を終えた後、住民の石井亨さん(61)は感慨深げに語った。00年6月に成立した国の公害調停に基づいて設置された協議会は同年8月の初会合以来、47回を数える。廃棄物の掘削、西隣の直島への搬出と処理、汚染状況など重要な問題を話し合ってきた。新型コロナウイルス下で事業関連の会議はオンライン会合が続いたが、「今回は膝を交えて協議したい」という住民の要望で対面式による開催となった。

 19年までに91万3000トンの廃棄物と汚染土壌が撤去された後、県は地下水を浄化する作業を続けてきた。17日の協議では県が、現場の調査では地下水の有害物質濃度が排水基準を満たしたと報告。海への有害物質の流出を防ぐため海沿いの地中に設置した鋼鉄製の遮水壁(長さ約340メートル、深さ最大18メートル)を撤去し、22年度末に事業を終えることを提案し、住民側も受け入れた。

発端は1970年代、県の黙認続き

 問題の発端は1970年代にさかのぼる。豊島に有害産廃処理場の建設が計画され、住民は反対運動を展開。業者はミミズ養殖に使う木くずなど無害産廃を扱う名目に変更し、県も78年に許可した。しかし…

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