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第49回衆院選

岸田文雄首相が衆院選を10月19日公示、31日投開票で実施すると表明。短期決戦の選挙戦となります。

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持続可能な日本へ、経済成長神話から転換を 広井良典・京大教授

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広井良典京都大教授=東京都港区で2021年8月27日、前田梨里子撮影
広井良典京都大教授=東京都港区で2021年8月27日、前田梨里子撮影

 格差社会化が叫ばれて久しい。若年層の不安定な雇用や生活が少子化や人口減少に追い打ちをかける一方、財政赤字は拡大し、膨大な借金は将来世代へつけを回すことになる。持続可能な社会のあり方を研究してきた広井良典京都大教授に、求められる日本の将来像と政治が今なすべきこと、衆院選で問われるべきことを聞いた。【鈴木英生】

 ――日本社会の目指すべき将来像と、その実現のために政治がすべきことはなんでしょうか?

 ◆経済成長があらゆる問題を解決するという昭和的な発想から脱却し、持続可能な福祉社会へと転換すべきです。その筋道をつけることが、政治に求められます。大前提として、まずは1200兆円を突破した国の借金をなんとかしなければなりません。

 私は、京都大に設置された日立京大ラボとの共同研究として、AI(人工知能)を用いて2050年の日本がどうしたら持続可能かをシミュレーションし、その結果を17年に発表しました。人口や高齢化、エネルギーや環境などの要素を基に作った約2万通りのシナリオを分析した結果、日本社会の未来にとって、東京一極集中に象徴されるような都市集中型か、地方分散型かという選択がもっとも本質的で、後戻りできなくなる分岐点は25年から27年ごろに起きるという結果が出ました。前者は、一見効率的だが格差が拡大し人口減少がさらに進んでいく社会、後者は持続可能な福祉社会、私の言葉で「定常型社会」に親和性が高いと言えます。

 AIが新型コロナウイルスの感染拡大を予言したとまでは思いませんが、今回のコロナ禍はこうした分岐点と関連する面が大きいのではないでしょうか。東京など大都市圏で感染が拡大して、都市集中型社会の弱さを見せつけました。リモートワークの普及だけでなく、地方や郊外への移住の動きも一部で出てきました。今年は東京五輪が開催され、25年には大阪・関西万博が開かれます。大規模イベントや金融緩和などでカンフル剤を打ち続けてきたつけが、今後噴き出るのかもしれません。

 平成の失われた30年は、昭和の成功体験にしがみつく世代が、がむしゃらな経済成長がまだ可能だと思い込んできた結果です。安倍晋三元首相が…

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