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変わる転勤制度 働き方を問い直す一歩に

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 転勤や単身赴任といった慣行を見直す企業が出てきた。暮らしと仕事を両立させる仕組み作りを急ぐ時だ。

 NTTが、テレワークを拡大して転勤をなくす方針を打ち出した。社員約32万人の企業グループが取り組む意義は大きい。

 日本では、定期的な異動でさまざまな業務を経験させて、人材を育成する雇用形態が定着している。大企業では、国内外の拠点に転勤させることも一般的だ。

 根底にあるのは、安定した雇用と引き換えに、会社が決めた人事を受け入れるという考え方だ。

 必要な人員を配置するうえでやむを得ない面はあろう。従業員の能力を生かし、取引先とのなれ合いを防ぐといった観点からも、転勤は受け入れられてきた。

 しかし、こうした働き方は家庭に大きな負担を強いている。マイホームの購入といった生活設計を立てにくく、子育てや介護にも影響が生じる。単身赴任を余儀なくされることも多い。

 共働き世帯が専業主婦世帯の2倍にまで増える中、主に不利益を被るのは働く女性だ。夫の転勤についていくために退社したり、自身の転勤を断って昇進をあきらめたりする人もいる。

 男性中心の視点で作られた雇用制度は限界を迎え、転勤の弊害が見過ごせなくなっている。旧来の慣行を漫然と続けていては、優秀な人材が集まらなくなる。

 新たな技術の活用や発想の切り替えが不可欠だ。テレワークを導入すれば遠隔地からでも指示や打ち合わせができる。富士通やカルビーは昨年、単身赴任をやめる方針を決めた。

 AIG損害保険が2019年、希望する地域で働き続けられる制度を導入すると、従業員の65%が手を挙げた。移行期間に2年半以上をかけたが、就職希望者が増えるなど人材確保にもつながった。

 本社機能の分散や、地域の人材を幹部に登用する仕組みの導入など、社会の変化に対応した見直しが欠かせない。転勤が本当に必要なのか業務ごとに精査し、従業員が納得できる制度を作るべきだ。

 働き手のライフスタイルを尊重しながら、業績を向上させられるモデルの構築に向け、経営者は知恵を絞らなければならない。

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