原油も石炭も天然ガスも… 脱炭素化の足元で進む資源高の原因は
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脱炭素社会を目指すうえで、避けられない「痛み」なのか――。世界的に化石燃料の天然ガスや石炭、原油が軒並み高騰している。日本でもガソリン価格が7年ぶりの高値をつけるなど、暮らしへの影響も出てきた。背景を探ると、脱炭素化を急ぐ世界の動きが関係していることが浮かび上がってくる。
ガソリン、7年ぶり高値
10月11日、東京都世田谷区の幹線道路沿いにあるガソリンスタンドには次々と車が給油に来ていた。「お客さんから『上がったね』と声を掛けられることが増えた」。店長の佐藤大さん(50)はこう打ち明けた。
経済産業省が発表する全国のレギュラーガソリンの平均価格(1リットルあたり)は160円台に達し、約7年ぶりの高水準で推移している。今年1月と比べると30円近い上昇で、「寒波で暖房需要が増えれば180円台まで上がることもあり得る」(ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミスト)との見方もある。
ガソリンの原料となる原油の価格も1バレル=80ドルの大台を突破。新型コロナウイルス禍の昨年4月には経済活動の停滞で供給過剰となり、マイナス40ドルまで落ち込んだが、今月は7年ぶりの高値水準で推移している。天然ガスを超低温で液化したLNG(液化天然ガス)も日本や韓国など北東アジア向けのスポット(随時契約)の指標価格が歴代最高値を記録したほか、石炭も海外先物市場では年初の3倍近い値を一時つけており、あるアナリストは「こんな高値は記憶にない」と話す。
LNG「爆買い」の中国、再エネ大国を襲った天候不順
世界各国では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動が徐々に再開しつつある。価格が上がったのは経済活動の再開に伴う需要の高まりが主因だが、それだけではない。「脱炭素」と絡んだ構造的な理由も潜んでいる。
震源地の一つは脱炭素化を急ぐ中国だ。習近平国家主席は昨年9月の国連演説で、2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量を減少に転じさせ、60年までに排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラ…
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