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今週の気持ち

今週の気持ちは「文通」

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 「女・男の気持ち」(2021年10月14~20日、東京・大阪・西部3本社版計21本)から選んだ「今週の気持ち」は、大阪本社版10月15日掲載の投稿です。

   ◇

<今週の気持ち>

文通 神戸市北区・関谷季代子さん(主婦・74歳)

 スマホもメールもなかった昔、文通がはやったことがある。断捨離をしていたら、押し入れの奥から二つの箱に入った二百数十通もの手紙が出てきた。読み始めると、一気に半世紀以上も前の少女の頃の気持ちに戻った。

 前の東京オリンピックが開かれた年。信州のサナトリウムで療養中だった年上の青年から17歳の私に、「空白な日々。希望を失いかけている」とつづられた手紙が届いた。英語の学習雑誌に掲載された私の「文通希望」を目にして手紙をくれたのだ。

 大きな手術の3時間前に書かれた手紙には「頑張ります」とあった。私が22歳になるまでの5年間、日記のような手紙のやりとりが続いた。その間、彼は過酷な2年間の療養生活に耐え、横浜で仕事に復帰した。

 まだ子供だった私は、友人関係や、果ては、のんきにボーイフレンドのことまで書いて送った。随分昔のことなのに、手紙たちの何と生き生きと、みずみずしいことか。互いに自制していたけれど、今読み返すと、「うわー、これ全部恋文だ」。

 彼が電話口で弾いてくれた「アルハンブラの思い出」のギターの旋律までよみがえってきた。

 傍らの夫に、「夢の中から出られないでいる」と話すと、笑っていた。そして、手紙を全部処分した。

 どこにいますか。お元気ですか。私は、元気です。

   ◇

<担当記者より>

 前の東京五輪ですから1964(昭和39)年。57年前の文通相手の手紙を捨てかねて保管していたとのことです。相手は結核でサナトリウムに入院していた10歳以上年上の青年。送られてきた手紙は、消毒薬のにおいがしていたとか。関谷さんによると、青年は自暴自棄にならないようにと文通を始めたようです。

 この関谷さんの投稿も、読者の年代によって共感の度合いはさまざまでしょう。私は文通をしたことはありませんが、子供時代に読んでいた学習雑誌にも「文通希望」の欄があったので、「時代の空気感」は分かります。ノスタルジーと言ってしまえばそれまでのことですが、色あせた手紙が「生き生きと、みずみずしい」とは、アナログが持つ温かさを感じます。

 さて、青年は無事退院して仕事に復帰したとあります。そして、投稿にはありませんが、別の女性と結婚して家庭も持ったそうで、関谷さんたちの「淡い恋」は5年で終わりを告げました。最後の、関谷さんの呼びかけも、いいなと思いました。

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