子どもが幸せに暮らせる社会をどう実現していくのか。今回の衆院選で問われている。
各党は、教育や子育て支援を重視する姿勢を打ち出している。しかし、耳当たりの良い項目を列挙するにとどまり、どのような社会を目指すのかという理念が見えにくい。
立憲民主党が児童手当の所得制限撤廃を掲げるなど、各党の公約には子育て支援が盛り込まれた。公明党は新型コロナウイルス対策の一環として、全ての子どもへの給付金を柱に据えた。
だが、裏付けとなる財源があいまいなままでは、政策の実効性は確保できない。借金に頼れば、次世代にツケを回すことになる。
子ども政策に一元的に取り組む省庁を創設する構想も目立つ。
政策が複数の省庁にまたがっており、縦割りの弊害も指摘される。新しい組織をつくることは選択肢の一つだが、各党の構想では担うべき役割の範囲など具体像が明確でない。
子どもを取り巻く環境は厳しさを増している。
自殺や不登校は昨年度、過去最多となった。子どもの7人に1人が「貧困状態」にある窮状も改善していない。
国連児童基金(ユニセフ)が昨年公表した先進・新興国の子どもの幸福度調査で、日本の子どもの「精神的幸福度」は38カ国中37位と最低レベルだった。
教育や子育てにかける国の予算も、国際的に見て低水準だ。旧民主党政権が子ども手当を導入し、てこ入れを図ったが、財源不足から行き詰まった。支援が不十分な状況は当時から変わっていない。
日本が1994年に批准した子どもの権利条約は、親の経済的事情などにかかわらず、全ての子どもに生きる権利や教育を受ける権利を保障している。
だが、条約の理念を実現するための国内法は整備されておらず、市民団体などが早期に制定するよう求めている。
基盤となる理念を先に打ち立てなければ、子ども政策の立案や新たな組織づくりを始めることはできないはずだ。各党は個別の施策を掲げるだけでなく、子どもたちが将来に希望を持てる社会像を提示する責任がある。
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