戦乱続いたスンニ派の街 治安改善、変化も イラク・ファルージャ

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スンニ派政党の広告看板が掲げられたファルージャ市内中心部。ISが占拠した右後ろの建物には弾痕が残る一方、左奥ではビルの建設工事が進む=イラク中部ファルージャで2021年10月10日午後、真野森作撮影
スンニ派政党の広告看板が掲げられたファルージャ市内中心部。ISが占拠した右後ろの建物には弾痕が残る一方、左奥ではビルの建設工事が進む=イラク中部ファルージャで2021年10月10日午後、真野森作撮影

 「今はどの政党も外国の代理勢力だ。支配層には国家への忠誠心がない」。イラクのサダム・フセイン独裁政権時代に軍将校だったジヤード・アルドレイミさん(55)は両の拳を握りしめ、憤りを口にした。

 ここはイラク中部ファルージャ。首都バグダッドの西約50キロに位置する人口約30万人の都市で、近くをユーフラテス川が流れる。国民の約3割と少数派のイスラム教スンニ派住民が集住する三角地帯「スンニ・トライアングル」に含まれる。

 スンニ派主体のフセイン政権が2003年に米軍率いる有志連合に倒された後、占領当局によって軍人の多くは職を追われた。アルドレイミさんもその一人だ。戦後の民主化政策によって、イラク政界は国民の多数派であるシーア派主導へと変わった。長年多くの軍関係者を輩出したこの町で、スンニ派の元軍人たちは不満を抱え続けている。

 年金暮らしのアルドレイミさんは、かつて自身が仕えたフセイン政権のクウェート侵攻(1990年)…

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