衆院選は野党勢力が共闘して与党と対決する構図になっている。
立憲民主、共産、国民民主、れいわ新選組、社民の5党は、全国の小選挙区の7割以上で候補者を一本化した。与党への対抗を優先し、小異を捨てて大同についた。
前回の衆院選は最大野党だった民進党が公示直前に分裂した。野党の足並みが乱れ、結果として安倍晋三元首相による長期政権を許すことになった。
小選挙区制は候補者の中から1人を選ぶ仕組みだ。野党間で票を奪い合うのではなく、対与党で結束することは理にかなう。
今回の選挙は、安倍政権からの9年間への審判だ。1対1の図式とすることで、政権批判の受け皿として存在感を示せる。
呼び掛けたのは、安倍政権時代に安全保障関連法に反対した市民団体だ。「憲法改悪反対」や「森友・加計学園問題、桜を見る会疑惑の真相究明」など20項目の共通政策について、国民を除く4党が合意した。
首相指名に直結する政権選択選挙で、共産が野党第1党と共闘するのは初めてだ。多くの小選挙区で独自候補の擁立を見送り、立憲中心の野党政権が誕生した場合には、「限定的な閣外協力」をするという。
しかし、自衛隊や日米安全保障条約、天皇制という国の根幹に関わるテーマで、共産と立憲には隔たりがある。共産は個別の公約で「日米安保廃棄」を掲げる。
保守・中道層から反発を受けかねない共産との共闘は、立憲にとって一種のかけである。支持母体である労働組合の中央組織・連合との間できしみを生んでいる。
自民党の甘利明幹事長は「自由民主主義の政権と、共産主義が初めて入ってくる政権と、どちらを選ぶかだ」と強調している。レッテル貼りで争点をずらすのではなく、堂々と政策論争をすべきだ。
毎日新聞の序盤情勢調査によると、全体の約2割の選挙区で与野党が接戦を繰り広げている。カギを握るのは無党派層の動向であり、野党共闘への評価が情勢を左右しそうだ。
どのような形の政権を目指すのか。とりわけ野党第1党の立憲には、有権者に説明を尽くす責任がある。
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