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中島京子・評 『戦争とバスタオル』=安田浩一・文、金井真紀 文・絵

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『戦争とバスタオル』
『戦争とバスタオル』

 (亜紀書房・1870円)

教訓もたらす湯船からの史実

 歴史を扱うのは難しい。それが作られる渦中では全体が見えず、それがまさに歴史となっていく過程では、忘却や風化とたたかうことが求められる。風化の先には、史実の否定やねじまげが起こる。

 二人の風呂好きノンフィクションライターが、こうした歴史修正主義にあらがうべく、76年前に終結したアジア太平洋戦争の、戦蹟や語り部を訪ねる旅に出る。そして行く先々で、お風呂に入る。湯船から見た歴史とでもいうような構成の本なのだが、風呂と戦争、突拍子もない組み合わせでもないらしい。

 たとえば、タイのヒンダット温泉は、旧日本軍が保養地として作ったという。タイで日本軍は、タイとビルマ(現・ミャンマー)を結ぶ泰緬(たいめん)鉄道を、捕虜を酷使して作らせた史実がある。鉄道と温泉は、戦争でつながる。

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