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第49回衆院選

岸田文雄首相が衆院選を10月19日公示、31日投開票で実施すると表明。短期決戦の選挙戦となります。

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寺島実郎氏「イスラエルと比べてみよ」 埋没する日本への処方箋

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寺島実郎氏=東京都千代田区で、加藤隆寛撮影
寺島実郎氏=東京都千代田区で、加藤隆寛撮影

 31日に投開票される衆院選を見すえて、毎日新聞の取材に対して政治家の力量を見極める五つの質問を提案した日本総合研究所会長の寺島実郎氏(74)。その背景には、世界における日本の埋没への強い憂えがあった。現代の“知の巨人”にその現実と処方箋を聞いた。前編はこちら。【聞き手・大場弘行】

日本をイスラエルと比べて見よ

記者 寺島さんは世界における日本の埋没を指摘してきました。その背景をどう見ますか?

寺島氏 世界の中で今の日本に躍動感がないのは、戦後の日本が軽武装・経済国家としてアメリカに過剰依存しながら、アメリカを通じてしか世界を見なくなってしまったことが原因の一つとしてあるだろう。

 それは外交政策によく表れている。たとえば、安倍政権9年間の外交については「全方位失敗外交」と言える。外交が得意だと言われた安倍元首相はロシアのプーチン大統領と27回も会談し、プーチン大統領も安倍氏の地盤である山口県にまで来た。北方領土がいまにも返ってくるのではないかという勢いだった。ところが、北方4島のうちの2島先行返還ですら蹴散らされて、昨年にはロシア憲法に領土の割譲禁止条項が盛り込まれてしまった。

 近隣の中国や朝鮮半島をめぐる問題に対しても、アメリカを通して中国や北朝鮮と向き合うことに固執してしまい、主体的に変えていく動きや、制御するような動きができていない。そして、その連携しているはずのアメリカ自体の影響力が世界の中で大きく後退してきている。アメリカは20年前、「唯一の超大国」「一極支配」と言われていたが、今のアメリカをそう表現する人はほとんどいない。アメリカ自身が世界の警察の役割をやらないとまで言っている状況だ。そんなアメリカに日本は今でもしがみついているようなものだ。

 今の日本を理解するうえで、同じくアメリカの同盟国であるイスラエルと比較してみるとその違いが浮き彫りになる。イスラエルは小さな国だが、アメリカからは「厄介な同盟国」と思われている。

 この20年でイスラエル周辺の中東の絵図柄は大きく変化した。イスラエルが危険視するヒズボラ(イスラム教シーア派組織)や…

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