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相次ぐ電車内襲撃 安全対策の検討急がれる

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炎が上がった車両から走って逃げる乗客たち=東京都調布市で2021年10月31日(@siz33さん提供) 拡大
炎が上がった車両から走って逃げる乗客たち=東京都調布市で2021年10月31日(@siz33さん提供)

 電車内で多くの乗客が無差別に襲われる事件が、また起きてしまった。

 東京都調布市を走行していた京王線の特急電車内で、男性が胸を刺され、重体となった。ライター用オイルで放火されるなどして、16人がけがをした。

 ツイッターに投稿された動画には、炎が上がる様子や、窓から脱出する乗客が映っている。休日の夜の車内がパニックに陥った状況は衝撃的だ。

 殺人未遂容疑で現行犯逮捕された容疑者は「人を殺して死刑になりたかった」と供述している。仕事や友人関係がうまくいかなかったとも話しているという。

 経緯や動機について、捜査を尽くして解明する必要がある。

 8月には東京都世田谷区を走行中の小田急線車内で、刃物で襲われるなどして10人が重軽傷を負った。サラダ油を車内にまいた容疑者は「『勝ち組』の女性を殺したいと考えた」と供述した。

 今回の容疑者は、小田急線の事件を参考にしたという。凶行の連鎖を招いた形だ。

 走行中の電車は密室状態で、逃げ場がない。特急など停車駅が少なければ、その時間はさらに延びる。こうした事件が起き得ることを想定した安全対策が急務だ。

 3年前には東海道新幹線の車内で3人が殺傷された。事件を受け、国土交通省は梱包(こんぽう)されていない刃物を電車内に持ち込むことを禁止した。東京五輪を控えた今夏には、鉄道会社が乗客の手荷物を検査できるように省令を改正した。

 隠し持った凶器を発見する装置「ボディースキャナー」を使う実験も行われている。しかし、大勢の通勤客らが利用し、ダイヤも過密な大都市の電車で実施するのは現実的とはいえない。

 駅や電車内で防犯カメラの設置は進んでいるが、犯罪を防ぐ効果は限定的とされる。車内の状況をリアルタイムで把握できるシステムの導入も始まったばかりだ。

 警備員らによる警戒を強化するには、人員やコストの面で制約がある。

 利便性を確保しながら、被害を防ぐ「特効薬」はない。鉄道会社は、同業他社や外部の意見を取り入れながら、安全対策に知恵を絞らなければならない。

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