外国人対象の医療相談会に生活困窮の140人 東京・千代田の教会

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通訳を介しながら、内科医(右)に健康状態を相談するアジア系の男性(手前)=東京都千代田区のカトリック麴町聖イグナチオ教会で2021年11月3日午後12時半ごろ、上東麻子撮影 拡大
通訳を介しながら、内科医(右)に健康状態を相談するアジア系の男性(手前)=東京都千代田区のカトリック麴町聖イグナチオ教会で2021年11月3日午後12時半ごろ、上東麻子撮影

 長引くコロナ禍で生活に困窮する外国人を対象とした医療相談会が3日、東京都千代田区のカトリック麴町聖イグナチオ教会で開かれた。首都圏に住む外国人約140人が訪れ、ボランティアの医師や保健師、弁護士、支援者が相談にあたった。【上東麻子/デジタル報道センター】

 相談会は、外国人の医療支援をする特定NPO法人北関東医療相談会、反貧困ネットワーク、移住者と連帯するネットワーク(移住連)が共催した。生活に困窮した日本人や在留資格がある外国人は生活保護などの公的支援を受けることができるが、在留資格がない外国人は受けることができない。

 何らかの理由で非正規滞在となった外国人は働けず、医療保険に加入することもできない。病院に行くと高額の医療費がかかるため、受診を控えて体調を悪化させる人も多いという。こうした外国人を支援するため、北関東医療相談会は20年以上前から無料の医療相談を開いており、今回で62回目。ボランティアの内科医や歯科医が問診をしたり、必要があれば病院を紹介したりしている。また、後日に病院で受診した場合、個人のカンパなどで集まった資金を医療費に充てて支援する取り組みもしている。

 反貧困ネットワークの外国人支援チームリーダー、原文次郎さんによると、これまではクルド人、ミャンマー人などが同じコミュニティーで支え合うケースが多かったが、長引くコロナ禍で仕事を失う人も多く、コミュニティーの支え合いも限界となった。このため、困窮する外国人が増えているという。

 同ネットワークが呼びかけて昨年3月に設立した「新型コロナ災害緊急アクション」では、生活困窮者からのSOSをメールやSNSなどで受けている。同ネットワークのメンバーが現場に駆けつけ、当面の生活費などを支援する事業をしているが、7月に集計したところ、申請があった約1300件のうち7割を外国人が占めた。また、同ネットワークが今年2月から運営しているシェルター15部屋のうち、6部屋は外国人が利用しているという。

 経済的理由で医療費を払えない人は、「無料低額診療事業」をしている医療機関で受診することができる。しかし、北関東医療相談会の長澤正隆事務局長によると、昨年以降、外国人が断られるケースが増えた。医療保険を使えない外国人に高額の医療費を請求する病院も多く、がんの手術費で数百万円を請求する場合もあるという。また、出入国在留管理局の収容施設に収容された後、一時的に解放される「仮放免」になった人が、健康状態が悪化したと相談に来るケースもあるという。

 長澤さんは「外国人が、ビザがないという理由で医療が受けられず、最低限の生活も保障されないのは差別的な扱いだ。入管は、在留資格がなくても病気になったら速やかに在留特別許可を出し、健康保険や生活保護などを使える仕組みに改善してほしい」と話した。

 この日の相談会には、アフリカ系の人たちを中心に、若者から中高年、子連れの家族たちが訪れた。千葉県から来たという東南アジア系の50代の女性は、在留特別許可を申請中だが、認められない状態が長年続いているという。この女性は「保険証がないので、病院は高くて行けない。風邪を引いても我慢して家で寝ていることが多い。しばらくおなかの調子が悪かったので相談に来た。医師が病院の紹介状を書いてくれ、診療費も支援してくれるというので安心しました。早く病院に行きたいです」と話した。

 母国が政情不安のため難民申請中という都内在住の東南アジア系の男性は「国に民主主義が戻れば帰りたいが、今は帰ることができない。日本で難民認定を受けて働き、安定した生活をしたい。1年ほど胃の痛みが続いていたが、病院に行けなかった。こうした相談会があると助かります」と話していた。

 北関東医療相談会は、難民申請中や在留資格がない外国人らへの医療無償化を求める署名をオンラインで募っている。詳しくは次のサイトへ

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