特集

大学関連ニュース

全国の大学に関するニュースを集めました。

特集一覧

サンデー毎日発

4大模試最新難易度【理系編】 コロナ不況見据え志望増 難関大や工科系が人気回復

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
今年春に引き続き、志願者が増えそうな東京理科大。写真は葛飾キャンパス=東京都葛飾区で
今年春に引き続き、志願者が増えそうな東京理科大。写真は葛飾キャンパス=東京都葛飾区で

 不景気になると人気が上がる理系学部。コロナ禍で景気の先行きが不透明な中、2022年度入試(22年4月入学)は理工系人気が高まりそうだ。農・水産系の志望状況と合わせて、代表的な理系学部の動向を見ていこう。

理系学部の系統別志望状況 拡大
理系学部の系統別志望状況

 コロナ禍で就職に不安を感じる受験生心理を背景に、就職に強い理工系の志望状況が堅調だ。左の系統別志望状況を見ると、理と工の志望者は大きく増えていない。しかし、前年同時期を100とした時の模試全体の受験者の指数が、国公立大と私立大ともに99ということを勘案すると、両系統ともに、前年並みから上回っていることが分かる。

 個別大学の理工系学部の志望状況は、おおむね前年並みとなりそうだ。そうした中で志望者が増えている大学について、河合塾教育情報部長の亀井俊輔氏に聞いた。

理工学部の志願者が増えそうな上智大=東京都千代田区紀尾井町で 拡大
理工学部の志願者が増えそうな上智大=東京都千代田区紀尾井町で

 「私立大の最難関クラスでは上智大・理工や東京理科大・先進工、難関クラスではMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の理工系学部で志望者が増えています」

 東京理科大・先進工は、1年次が長万部キャンパス(北海道長万部町)で、2~4年次が葛飾キャンパス(東京都葛飾区)で学んでいた。それが、4年間葛飾キャンパスとなったことから、21年度は志願者増。上智大・理工も志願者が増えており、両大学ともに22年度はさらなる倍率アップが見込まれる。一方、21年度は大半の理工系学部の志願者が減ったMARCHは、志願者が戻ってきそうだ。

 工科系大学にも注目が集まっている。ベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の谷本祐一郎氏は言う。

 「千葉工業大や工学院大、芝浦工業大、東京電機大、東京都市大などの志望者が増えています。コロナ禍で大学生の就職状況が不透明になる中、工科系大学の就職力に対する期待感もあるのでしょう」

 志望者が増加傾向の工科系大学の中でも、大幅な難化が見込まれるのは22年度から後期日程を廃止し、中期日程を導入する前橋工科大・工。前期と後期の狭間(はざま)の中期を受験すると、最大3回の受験機会を得られることになる。関東で工の中期を実施しているのは前橋工科大だけなので、多くの志願者が集まることは間違いなさそうだ。近畿では、大阪公立大・工に注目が集まる。

 「大阪公立大・工の中期では、統合により建築など志望分野が広がりました。京大や大阪大など旧帝大クラスを目指す上位層の志望者が増えています。大阪公立大・工の前期より、1、2段上の志望レベルです」(河合塾の亀井氏)

 国公立大では、女子大として初めて工学部を開設する奈良女子大の志望状況が気になるところ。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏は、こう話す。

 「女子大初の工学部ということで注目されていますが、志望者はそれほど集まっていません。同大の理学部の中で最も易しい学科より難易度は低い。受験生の認知が進むと、実際の志願者は増える可能性がありますが、現時点では、工学部志望の女子にとって狙い目と言えます」

 奈良女子大・工以外に、22年度に新設される理工系学部には、神奈川大の建築がある。工学部の建築学科を母体とした学部だが、学科の時より多くの志望者が集まっている。

注目が高まる情報系 農学系受け皿広がる

 名城大が新設する情報工も志望者は多く、名古屋大など難関国立大との併願を考える受験生もいるという。近畿大が新設する情報も、多くの志望者が集まっているようだ。既存の学部・学科も含め、情報は学門系統としての人気が高い。ベネッセの谷本氏は言う。

 「コンピューター技術や情報技術、情報解析といった、理系的なアプローチをする情報工学系の人気は、さらに高くなっています。中央大・理工の情報工学科や東京都市大・情報工などの都市部の大学に加え、福岡工業大・情報工など、地方の大学でも志望者が増えていることが特徴です」

 理工系と並んで農・水産系も就職に強い系統だが、これまでは、この系統に関する大きなトピックスが少ないことから、受験生の注目度が高まらず志望者の減少が続いてきた。しかし、15年に龍谷大、20年に摂南大がそれぞれ農を新設したことにより、農学系志望者の受け皿が大きくなったこと。さらに、コロナ禍で就職に対する意識が高まったこともあり、系統別志望状況の表の農・水産は、国公立大が前年並みで、私立大は増加傾向。東進ハイスクール広報部長の市村秀二氏が、農学系に絞って志望状況を説明する。

 「昨年度、私立大を中心に志願者を減らした農学系は、その反動から志望者が戻っており、昨年並みからそれ以上の志願者になると見ています。農学系の中でも、理学の生物系を応用した学びができる農芸化学や獣医の人気が高くなっています。特に獣医は国公立大・私立大ともに人気が高く、背景には就職難を意識した資格志向がありそうです」

 名古屋大・農は、22年度入試から2次試験で新たに国語を課すが、その影響なく前年の志望者を上回っている。国語の配点は高くないが、理系の受験生にとっては科目負担増となる。それでも志望者が減らないのは、農学系人気の高さを示していると言えそうだ。

 不況期の学部志望動向が鮮明となり、22年度入試は、理工系や農・水産系といった理系学部が難化含みだ。各大学の最新難易度を確認しながら、志望大学合格の可能性を探ってほしい。【大学通信・井沢 秀】

*2021年11月14日号より転載。「国公立・私立280大学 4大模試最新難易度」の表は実際の誌面で確認してください

あわせて読みたい

マイページでフォローする

ニュース特集