勝算はあるか トヨタが「EV一辺倒」を嫌う理由
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世界的な脱炭素の流れから次世代車として注目を浴びている電気自動車(EV)。欧米の自動車メーカーを中心にEV転換の姿勢が鮮明になる中、トヨタ自動車は「EV一辺倒」の戦略に後ろ向きだ。「100年に1度」といわれる自動車産業の大変革にトヨタは取り残されないのか。英グラスゴーで開催中の温暖化対策を協議する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を機に自動車業界の未来像を考えてみた。
強みのHVに固執?
トヨタの現在のEV導入計画は約1000万台規模の世界販売のうち、2030年時点でEVと燃料電池車(FCV)で計200万台というものだ。残りは、ハイブリッド車(HV)やガソリン車で占める「全方位戦略」を掲げる。35年までに新車販売のすべてをEVなど排ガスが出ない「ゼロエミッション車」とする米ゼネラル・モーターズや、40年に同様の目標を掲げるホンダに比べると、「脱ガソリン」に及び腰に見えてしまう。
豊田章男社長も「最初からガソリン車を禁止するような政策は日本の強みを失いかねない」と述べるなど、脱炭素への選択肢がEVだけに狭まる流れを頻繁に批判。「35年までに全新車販売を電動車」と打ち出した菅義偉首相が退陣を表明し、自民党の新しい総裁選びが始まると、「一部の政治家から『すべてをEVにすればいい』という声も聞くが、それは違う」と発言し、政治への注文も勢いを増す。トヨタはHVの開発競争で世界の覇権を握っただけに、自動車業界には「世界的に優位性のあるHVを守りたいだけでは」と疑問視する声も上がる。
EVは本当に「クリーン」か
一体、トヨタの本音はどこにあるのか。
トヨタの元エンジン技術者で、部長時代には温室効果ガス削減に向けた次世代車のロードマップの作成にも携わった愛知工業大の藤村俊夫客員教授は「トヨタを擁護するわけではない」と前置きした上でこう断言する…
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