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スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で死亡してから8カ月。かつて入管トップとして外国人の収容にも責任を負っていた元法務省入国管理局長の高宅茂さん(70)は、死亡事案の再発防止に向けて「入管内部での意思疎通の改善」を挙げる。30年以上にわたって入管行政に関わってきた専門家からみた問題点、改善点を語ってもらった。【上東麻子/デジタル報道センター】
指示が伝わらない組織 最大の問題
高宅さんは、1981年に法務省に入省。入国在留課長、入国管理局総務課長、大臣官房審議官などを務め、外国人労働者の受け入れ拡大に伴う入管法改正に関わってきた。東京入国管理局長、福岡入国管理局長も経験し、2010年から3年間、入管行政の実質的なトップである入管局長を務めた。13年に退職した後は外国人受け入れ政策の研究者に転じた。著書に「入管法概説」などがあり、その後も法律の解説書などの執筆を続けている。
入国管理局は19年4月に法務省の外局「出入国在留管理庁」となり、地方の入国管理局は出入国在留管理局と呼び名が変わっている。
高宅さんは、ウィシュマさんの死亡に関する法務省の最終報告書を読み、DV(ドメスティックバイオレンス)を訴えていたことに注目した。
報告書によると、ウィシュマさんは20年8月、警察を訪れ「恋人に家を追い出され」たと伝えた。翌日、名古屋入管に引き渡されて以降も、元交際相手から「殴る蹴るの暴行を受けた」ことなどを度々職員に伝えていた。
DV防止法に基づき13年に法務省などが出した「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針」には、在留資格の有無にかかわらず日本在住の外国人も保護の対象にすると定めている。
また、法務省入管局長が08年に地方入国管理局長(当時)らに対して通達した「DV事案に係る措置要領」(18年に一部改定)は、DV被害者を認知した時は「速やかに本省に報告する」こと、逃亡の恐れなどがある場合を除き「仮放免(即日仮放免を含む)した上で所定の手続きを進める」と定めている。
高宅さんは…
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