
米英豪の3カ国がインド太平洋地域の安全保障で協力する枠組み「AUKUS(オーカス)」を創設すると発表したのを契機に、欧州連合(EU)で安全保障を米国任せにしない「戦略的自律」を求める論議が高まっている。米国や欧州各国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)を通じた集団安全保障はどこへ向かうのか。
軽率だった米の仏軽視 バレリー・ニケ 仏戦略研究財団アジア研究主任
オーカス創設に伴い、フランスが豪州から一方的に潜水艦共同開発計画を破棄されたような事態は、他の米同盟国にとっても明日にでも起こり得ることだ。米国は、同盟国に困難を与えることになっても決断する時はする。オーカス問題は米同盟国にそういう悪い教訓をもたらした。
フランスが激しく反発したのは、計画破棄による経済的損失のためだけではない。創設発表のやり方だ。発表の数週間前、フランスと豪州は外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で契約を確認していた。事前に議論せず、隠していたことが問題なのだ。
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