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Shall・we・バレエ?

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Shall・we・バレエ?

バレエで見せる日本の美学=斉藤希史子

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牧阿佐美が再演出した「飛鳥」=写真家・鹿摩隆司撮影
牧阿佐美が再演出した「飛鳥」=写真家・鹿摩隆司撮影

 巨星落つ。自身の名を冠した団体を率い、新国立劇場の舞踊芸術監督も務めた牧阿佐美が10月20日、87歳で亡くなった。5月には松山バレエ団の創始者・松山樹子が98歳で先立っている。日本にバレエを根付かせた先達を相次いで失い、関係者は途方に暮れているだろう。

 両者の若き日を振り返り、「和物」に力を注いだ時代があることに、改めて思いをはせた。牧阿佐美バレエ団の「飛鳥物語」「角兵衛獅子」、松山の「白狐(びゃっこ)の湯」「祇園祭」など。つい先日まで「敵性文化」だった西洋の舞踊をそのまま上演しても、日本人の琴線には触れにくい。バレエの技法を守りつつ、題材としては観客になじみ深い国内の伝説や風俗を取り上げる――まさに和魂洋才の精神で、各団が「日本のバレエ」を果敢に模索していたのだ。

 近年は世界的傾向として大掛かりな装置や衣装が敬遠され、和物も下火となる中、佐々木三夏率いる大和シティー・バレエが新作「玉藻の前」を本拠・神奈川県大和市で上演した。表題役は、帝らを惑わせた平安朝の美女。九尾の狐(きつね)の化身だったと伝えられ、正体露見後は陰陽師により岩に封じ込められた。この「殺生石」伝説に基づく岡本綺堂の小説を原作とし、Kバレエカンパニーから飯島望未と杉野慧を主役に迎えた、1日限…

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