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岸田政権の対中政策 不信感拭う対話の努力を

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 日中両国が国交を正常化してから来年で50年となる。米中対立が続く中、新たな日中関係の枠組みをどう作り出すか。岸田文雄政権の戦略が問われている。

 中国との向き合い方は、日本の外交・安全保障上、最大の課題となっている。

 安倍晋三政権は対抗重視から、実利を優先して関係改善にかじを切ったが、道半ばに終わった。菅義偉政権は新型コロナウイルス対策に追われ、手が回らなかった。

 岸田首相は「中国は重要な国であり、対話は続けなければならない」と述べている。だが、実際の政策の方向性は、防衛費の増額や経済安全保障の重視など対抗に偏っているように見える。

 中国は日本周辺や台湾海峡で軍事行動を活発化させている。ルールではなく力によって自国の主張を押し通そうとする動きに、備える必要はある。

 一方で、日中は経済を中心に深く結びついており、産業界から関係改善を望む声が上がっている。非営利団体「言論NPO」などの世論調査では、中国に良くない印象を持つと答えた日本人が90%を超えたが、「日中関係は重要」との回答も66%に上った。

 「対抗」と「協力」のバランスを取ることが求められている。

 米国でさえ、台湾問題でつばぜり合いを繰り広げながら、中国との対話のチャンネルを確保している。日本が対抗一辺倒では、情勢の変化に対応できず、不利な立場に追い込まれかねない。

 中国も日本との決定的な対立を望んでいるわけではない。来年に北京冬季五輪や共産党大会を控え、政治の安定を最優先している。

 習近平国家主席は首相との電話協議で、国交正常化50年に向けて日本との関係を重視する考えを強調した。首相も「建設的かつ安定的な関係を共に構築しなければならない」と応じた。

 中国を巡っては、価値観や政治制度の違いから日米欧との溝が深まっている。今こそ、日中両国は首脳外交を再始動し、不信感を拭うべきだ。

 1972年の日中共同声明は「すべての紛争を平和的手段で解決する」とうたっている。この原点に立ち返り、対話の努力に全力を傾けなければならない。

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