公費助成受け、凍結した卵子で初めて出産 千葉・浦安市の少子化対策

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浦安市役所=小林多美子撮影 拡大
浦安市役所=小林多美子撮影

 全国の自治体で初めて千葉県浦安市が2015~17年度に、生殖補助医療の卵子凍結に公費を助成した事業で、将来に備えて34歳の時に助成を受けて卵子を凍結した女性(38)が今年、当時の卵子で出産した。公的な補助事業で出産に至ったのは初めて。11日の日本生殖医学会で発表される。

凍結卵子を使った妊娠までの流れ 拡大
凍結卵子を使った妊娠までの流れ

 事業は順天堂大浦安病院(同市)との共同研究。自治体が健康な女性の卵子凍結を支援する初の試みで、少子化対策の一環として加齢による不妊を避ける目的で行われた。一般的に採卵や凍結保存などに数十万~100万円以上かかるとされるが、市は採卵・凍結にかかる費用と3年間の保管料を全額補助した。事業が終わった18年度以降は全て自己負担となっている。

 同院関係者によると、3年間で市内在住の計34人が卵子を凍結した。その後、凍結卵子を使わずに自然妊娠した人もいるが、現在31人が保管を続けている。

 これまで卵子を解凍したのは2人で、このうち38歳の女性が今年出産に至った。女性は7個の卵子を凍結保存した後に結婚。卵子を解凍して体外受精させた。7個中4個が胎児に発育する前の段階の「胚盤胞」まで育った。女性は新たな採卵も試みたが、子宮に移植するのに適した受精卵が多く得られたため、凍結卵子を選択した。生まれた子は健康に育っているという。

 同院の大野基晴産婦人科医は「費用が高額なため、公費助成で一歩踏み出せる人もいる。卵子凍結は出産を保証するものではないが、将来の選択肢を増やす手段になる。これを機に妊娠や出産の知識が十分に広まってほしい」と話す。

 卵子凍結は元々、がん治療などで卵巣機能が低下した人が対象だった。しかし、晩婚化・晩産化が進み、健康な女性が利用するケースが国内でも広がっている。

 健康な女性が利用する卵子凍結を巡っては、日本生殖医学会が13年、加齢などに備えた凍結を条件付きで容認。一方、日本産科婦人科学会は15年、卵巣出血などが起きる恐れがある▽受精卵や胎児への影響が不明▽将来の妊娠・出産を保証できない――などとして「推奨しない」とする文書をまとめている。【岩崎歩】

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