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星野リゾートで変わる新今宮 地元・西成で懸念の声が上がる理由

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2022年4月の開業に向け、工事が進む星野リゾートの新ホテル=大阪市浪速区で2021年11月2日、小坂剛志撮影
2022年4月の開業に向け、工事が進む星野リゾートの新ホテル=大阪市浪速区で2021年11月2日、小坂剛志撮影

 2022年春、星野リゾートの新ホテルが大阪・JR新今宮駅北側にオープンする。駅の南側には日雇い労働者の街として知られた「あいりん地区」(大阪市西成区)が広がり、治安が悪いイメージも強かった地域だ。ここ数年は、訪日外国人が増えたことでホテルの新築や改装が相次ぎ、大阪市は大手広告代理店・電通に委託して周辺のブランド向上を狙ったPR事業を進めている。星野リゾートの進出で街の魅力アップが期待されるのに、地元西成では懸念の声が上がっている。それはなぜなのだろうか。【小坂剛志】

30年以上塩漬けの地に最上級ホテル

 「でっかい要塞(ようさい)みたいや」と地元住民が苦笑した。建設中の星野リゾートの新ホテル「OMO7(オモセブン)」は、14階建てで高さ約70メートル。客室436室は、国内外で50以上のホテルや旅館を運営する星野リゾートでも最大規模を誇る。星野リゾート内で「OMO7」は、都市観光ホテルブランド「OMO」の最上級にあたる。

 ホテルは大阪市浪速区に建つものの、目の前の駅の高架下をくぐれば西成区に入る。駅前の交差点からは、日本一高いビル「あべのハルカス」が見え、新世界のシンボル・通天閣も歩いてすぐという好立地だ。大阪市の保有地だったが、30年以上塩漬けとなっていた。「ずっと空き地だったが、広すぎて使い道がなかった」(大阪市関係者)。訪日客が増加傾向にあった17年、これを星野リゾートが購入した。

 「ほんまかいな。何という冒険を」。西成区長の臣永(とみなが)正広さん(67)は、新今宮駅北側に星野リゾートがホテルを建設するというニュースを知り、日雇い労働者の街のそばに最高級ホテルが開業することに驚きを隠せなかったという。臣永さんは元フリーの雑誌記者。橋下徹・大阪市長時代の12年に公募区長に就任した。16年に区長を退いたが、21年から再び公募で区長に就任している。

暴動、覚醒剤…残るイメージ

 西成のあいりん地区(通称・釜ケ崎)では1960~70年代、警察に不満を募らせた労働者が警察署を襲うなどの暴動が再三起きるなど治安の改善が長年の課題だった。周辺の公園にはホームレスが無許可で建てたベニヤ板やブルーシートを組み合わせたテントが並んでいた。大阪市は橋下市長時代に「西成をえこひいきする」と宣言し、人権上の配慮を求める声も上がる中、違法行為の取り締まりやゴミの撤去を強化。臣永さんは、西成区の活性化を目指す大阪市の「西成特区構想」の先頭に立った。

 10年代に入っても「新今宮駅の角っこには、いつも(覚醒剤の)売人の兄ちゃんが立っていた。横に警察のワゴン車を張り付るようにして徹底的に取り締まった」と振り返る。そうした記憶があるだけに、臣永さんは、星野リゾートの進出には「大丈夫かいな」という不安もあった。

 だが…

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