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満州事変が伝える教訓=井上卓弥・公益財団法人安達峰一郎記念財団理事

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 1931(昭和6)年9月の満州事変勃発から90年の歳月が流れた。事変に始まり、日中戦争から対米開戦に向かう30年代以降を現代の感覚で振り返ると、複雑な国際情勢の影響を受けたとはいえ、戦後の国際主義からかけ離れた選択が繰り返されている。

 満州国の建国を経て国際連盟脱退に至る経過に関わった軍部、政界関係者はよく知られている。一方、第一次世界大戦の戦勝で連盟常任理事国という先例のない地位を得た日本が、事変まで一貫して秩序回復と安定化に努めた経緯はかき消されてしまった。

 極東情勢の緊迫に翻弄(ほんろう)されながら、連盟の主要メンバーとして国際協調外交の命脈を維持しようと腐心した外交官たちの努力も顧みられていない。中でも、連盟規約に基づいてオランダ・ハーグに開設された常設国際司法裁判所(PCIJ)で31年1月、アジア人初の所長に就任したばかりだった安達峰一郎は、名前を忘れるわけにはいかない一人である。

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