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女の性愛や孤独を正面からとらえた小説を発表する傍ら、51歳で出家して分かりやすい語り口で仏法を広めてきた、文化勲章受章の人気作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが、9日、心不全のため死去した。99歳。葬儀は近親者で営む。
徳島市生まれ。文学好きの母らの影響で、小学校時代から北原白秋や島崎藤村の詩を好んだ。東京女子大在学中に大学教師と結婚、中国・北京で長女を出産したが、敗戦で帰国。戦後、夫の教え子と恋愛沙汰になり出奔、京都で出版社などに勤務した。1950年、離婚。少女小説を書いて生計を立てながら、小説家になるために上京。丹羽文雄主宰の「文学者」同人となる。
55年、瀬戸内晴美の名義で初の小説「痛い靴」を発表。57年には「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で第3回新潮社同人雑誌賞を受賞。同年、文芸誌「新潮」に発表した「花芯(かしん)」で新時代の女性の奔放な性を書く。だが、「子宮という言葉の乱用」を評論家の平野謙が指摘すると、“子宮小説”と世間で話題に。これに反論したことから文芸誌から締め出される。
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