特集

第5回全国高校eスポーツ選手権

スポーツを楽しむ高校生を応援し、文化として発展させていくことをテーマに開催される「全国高校eスポーツ選手権」の特集ページです。

特集一覧

人生いつも、アプデ中。

eスポーツ先進国へ 日本が世界で台頭するには TBS宇内梨沙アナ

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
TBSアナウンサーの宇内さん=東京都港区で2021年9月1日、前田梨里子撮影 拡大
TBSアナウンサーの宇内さん=東京都港区で2021年9月1日、前田梨里子撮影

 TBSでアナウンサーとして活躍している宇内梨沙さん(30)は「ゲーマー」としての顔も併せ持つ。そんな宇内さんの連載コラム「人生いつも、アプデ中。」では、ゲームの楽しさや自らの面白エピソードをつづる。

ゲームも「ガラパゴス進化」だった

 小学生の頃はよく二人の兄と色んな対戦ゲームで遊んでいました。しかし、何度やっても五つ上の兄に勝てず、徐々に嫌になり、いつの間にか対戦ゲームから離れ、それからはロールプレイングやアクション、ホラーゲームなど一人でプレーするものばかりを好むようになりました。

 ゲームは今、娯楽という枠を飛び越え、「eスポーツ」という競技として、数多くの大会が開かれています。ついにはアジアオリンピック評議会に認められ、2022年に中国で行われるアジア大会の正式種目にもなります。子どもの頃は、まさかゲームがスポーツの国際大会の種目になるなんて思ってもみなかったので、もっと兄への負けず嫌いを発揮して対戦ゲームに取り組んでおけばよかったと少し後悔しています。

 アジア大会で採用されたタイトルの中で、日本でも知られているのは「ストリートファイターV」、「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」さらに「PUBG MOBILE」でしょうか。銃で相手を倒すゲームは描写の影響から公式大会では選ばれにくい傾向があるため、バトルロイヤルゲームのPUBGが選ばれたのは大会側の懐の深さを感じました。

 今後、ますます市場拡大が予想されるeスポーツの分野で、日本が世界で台頭していくためには、世界で流行っているゲームをプレーする日本人の数がもっと増える必要があると思っています。日本では家庭用コンシューマー機が普及してきた歴史もあり、世界の潮流であるPC(パソコン)ゲームの普及が、韓国などのeスポーツ先進国と比べて圧倒的に遅れています。

 そういえば、18年平昌五輪で韓国に3週間ほど滞在した際に、ゲームばかり流しているテレビチャンネルを見つけて衝撃を受けました。それだけ韓国ではゲームが市民権を得ているということでもあります。

 世界を見ると、eスポーツの主役は圧倒的にPCでプレーするゲーム。その中でも「LoL」のようなマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)というジャンルが主流です。現在、開催されている国内のeスポーツ大会でも多くが「LoL」を採用し、eスポーツ部がある高校でも多くの学生が取り組んでいるタイトルの一つ。しかし、ゲームにあまり詳しくない方には聞き慣れないタイトルなのではないでしょうか。

 日本では今、「Apex Legends」が空前のブームとなっていますが、世界では「LoL」が圧倒的に人気なんです。前述の通り、PCゲームが普及してこなかったことも大きな要因ではあると思いますが、この辺りも日本らしいガラパゴス進化で面白い傾向です。

 ただ、この間、アイスランドで開かれた「LoL」の世界大会「Worlds2021」で、日本のDFMというチームが史上初のベスト16入りを果たし、快挙を成し遂げたことが話題となりました。徐々にですが、土壌が豊かになりつつあることは間違いなく、これから世界の大会でも日本のチームがトップ争いに当たり前のように加わる日が楽しみです。

 そのためにも、まずは国内での人気やプレー人口を増やすことが重要。部活動として多くの学校がゲーミングPCの導入を検討することや「全国高校eスポーツ選手権」のように、学生が活躍の場を見いだせる環境が整っていくことを期待します。

 多様性が重要視される今の時代、勉強やスポーツ・芸術だけでなく、ゲームももっと認められる社会になっていってほしいと、一ゲームファンとして思っています。大会に出場する学生の皆さんには「自分が日本のeスポーツの顔になるんだ!」というような気持ちを持ち続けていただきたいです。まだまだ競技人口も少ないからこそスターになるチャンスも十分にありますよね!

宇内梨沙(うない・りさ)

 1991年9月21日生まれ。神奈川県横須賀市出身。2015年4月、TBSテレビにアナウンサーとして入社。TBSのeスポーツ研究所に所属し、YouTubeチャンネル「ゲーム実況はじめました。~女子アナゲーマー宇内e~」を開設。ゲーム関連の動画を配信している。

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月

ニュース特集