COP26「化石賞」 脱炭素向け、どうする日本のエネルギー政策
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二酸化炭素(CO2)を多く排出する石炭火力に厳しい視線が注がれている。英グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、議長国英国の主導で有志の40カ国超が「段階的な全廃」で合意。岸田文雄首相は石炭火力の使用を継続するものの、技術革新によって「ゼロエミッション(排出ゼロ)化」を目指す考えを表明したが、気候変動対策に後ろ向きだとして「化石賞」を受賞した。脱炭素社会の到来に向け、日本は石炭火力とどう向き合うべきか。エネルギー政策に詳しい識者に聞いた。
玉木林太郎・国際金融情報センター理事長
「石炭火力温存、リスクが高い」
――日本は既存の火力発電所の全廃時期を明示しない一方、「ゼロエミッション化」を進める意向を示しました。この姿勢をどう評価しますか。
◆日本は(2019年度に二酸化炭素=CO2=換算で)年間12億トンもの大量の温室効果ガスを排出しています。今回示した技術は、理論や実験としては理解できます。しかし、これらの技術はある程度実現するとしても、大規模なCO2の除去にどれほど役立つのかは明らかではありません。石炭火力が必要なのが「現実だ」と語る人ほど、非現実的な夢を語っていることになります。きちんと説明できないと、「いつまでも火力に頼ります」と捉えられ、国内外に宣言するには説得力に欠けます。
――日本は環境NGOから「化石賞」を受賞するなど、気候変動対策に後ろ向きだという不名誉なレッテルを貼られています。
◆脱炭素化を巡る問題は極めて経済的な話です。「化石賞」に選ばれるとか、世間の批判にさらされることが問題なのではありません。(多くの国が温室効果ガス排出実質ゼロを目指す)50年に向けた大きな構造変化の中、日本の経済や社会が生き残る…
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