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ソ連崩壊30年

東西冷戦で米国と覇権を競ったソ連は1991年12月に崩壊。連邦解体から30年の足取りや現状をリポートします。

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ソ連崩壊30年

「まるで戦争前夜」 ロシアの大規模演習 欧米との衝突も視野か

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ロシア軍の演習「ザーパド2021」で発射されるロケット砲=ロシア西部ニジェゴロド州で2021年9月13日、前谷宏撮影
ロシア軍の演習「ザーパド2021」で発射されるロケット砲=ロシア西部ニジェゴロド州で2021年9月13日、前谷宏撮影

 東西冷戦で米国と覇を競ったソ連が1991年12月に崩壊してから、間もなく30年を迎える。旧ソ連諸国の今を追った連載(全7回予定)の初回は、ロシアが欧米諸国との対立を深める状況を報告する。17日に掲載予定の第2回は、かつてソ連を構成した国同士が戦火を交え、解決の糸口が見つからない問題に焦点を当てる。

弾道ミサイル、無人機、ロボット兵器も登場

 「まるで戦争前夜の状況」。ロシア軍の動向を長年にわたって追ってきたロシアの軍事評論家、フェリゲンガウエル氏がそう漏らすほどの軍事的な緊張が、ロシアと欧米諸国の間で生まれている。9月半ばにロシア軍が欧州国境付近を含む西部一帯で行った演習も、前例のない規模となった。

 直前まで虹が架かっていた平和な風景は演習開始とともに一変した。西部ニジェゴロド州の演習場。味方陣地の近くまで侵攻したとされる仮想の敵部隊に対し、140門以上とされる新型の火砲やロケット砲などが次々と火を噴き、広大な平原はたちまち煙と炎に包まれた。1発で約2万5000平方メートルの面積を破壊できるという短距離弾道ミサイル「イスカンデル」も発射され、巨大な爆炎が上がるたびに報道陣がいる観覧席まで衝撃が届いた。

 プーチン大統領が視察する中で実施された今回の演習では、攻撃や偵察用の無人機も多数投入され、遠隔操作が可能な無人戦闘車両「ウラン9」などのロボット兵器も初めて使用された。近代化が進むロシア軍の攻撃力を見せつけるかのような内容に、視察した外交団からは「大規模な紛争を想定しているようだ」との声も上がった。

 演習の名称はロシア語で「西」を意味する「ザーパド」。ロシア西部軍管区が隣国ベラルーシと共に欧州国境周辺を中心にして、4年に1度実施してきた大規模演習だ。参加した23歳の兵士は「自分たちの力を示すことはどこの国もやっている。驚くことはない」と肩をすくめる。

参加人員は前回の15倍と発表

 だが、今回の演習はその規模で周辺国を驚かせた。ロシア国防省によると、14の演習場を中心に行われた演習全体に参加した人数は約20万人。4年前の前回演習の約15倍の規模で、ソ連時代の1981年の大演習と比較し「欧州付近では過去40年間で最大の演習」(英誌エコノミスト)とも評された。

 ロシアと欧米諸国の間では89年の冷戦終結後、欧州周辺での軍事演習などに一定の制限をかける取り決めが結ばれており、過去のザーパドは1万~2万人台の規模で実施されてきた。ロシア国防省は「演習は防衛的で、他国の脅威にはならない」とするだけで、規模を大幅に拡大した理由は不明だ。実際に20万人もの将兵を動員できたかどうかには疑問の声も出てい…

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