寂聴さん最後の恋? 細川護熙さんとの穏やかな闘いの日々

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寒空の下、東京都知事選で細川護熙候補の演説を聞く瀬戸内寂聴さん(左)。隣は作家の澤地久枝さん=2014年1月、鈴木琢磨撮影
寒空の下、東京都知事選で細川護熙候補の演説を聞く瀬戸内寂聴さん(左)。隣は作家の澤地久枝さん=2014年1月、鈴木琢磨撮影

 99歳の大往生をとげた瀬戸内寂聴さんは京都の寂庵(じゃくあん)で小説と格闘しながら、いざとなれば庵(いおり)を飛び出した。元首相の細川護熙(もりひろ)さん(83)が「反原発」を掲げ、東京都知事選に出馬したときもそうだった。だが、老いゆく2人は「同志」から心温め合う、味わい深い境地へ――。ひょっとしたら、寂聴さん、最後の「恋」だったのかもしれない。

 悲しんでいるはずなのにどうしてだか穏やかな顔で、ちょっとにやにやしている。訃報が伝わった11日の翌朝、細川さんは東京・品川のアトリエにいた。そばを目黒川が流れている。「たまたま9日から11日まで京都にいました。寂聴さん死去の速報に気づいたのは京都駅から新幹線に乗る直前でした。風邪で入院したとはうかがっていて、京都に着いてすぐ、寂庵に電話したら、まだ病院とのことで、これは大変なのかなと少し心配していたんですが……。きのう東京に戻り、いただいた手紙を夜遅くまでゆっくりと読み返していました」。時折、手紙の写しに目を落としながら続ける。

 「『見事なニンニクで寂庵スタッフ元気になりました』。これは8月に頂戴したはがきだったかな。毎年、軽井沢の畑でつくっているニンニクをお届けしているんです。スタミナをつけていただこうと思いましてね。週3回は肉を食べるとおっしゃっていましたから。冬には熊本名産の晩白柚(ばんぺいゆ)もお送りしているんですが、こんな愉快な手紙がありました。『本来は大好きなものは一人で平らげてしまいます。でも、この正月で数えなら九十五にもなって、そんなことは恥ずかしいので、みんなに分けるつもりです。でもいざとなるとどうなるか分かりません』。つもりの3文字の横にわざわざ『、』を付けて強調してあるんです。アハハ」

 到来物への礼状とはいえ、ほのぼのとしたユーモアがまぶされ、読めばお地蔵さんみたいなあの笑顔が浮かぶ。細川さんが最後に寂聴さんに会ったのは10月20日、ふらっと嵯峨野の寂庵を訪ねたらしい。「まあ、いつも通り、…

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