「高級家電の開拓者」がスマホ挑戦 バルミューダに勝機はあるか

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報道陣に公開されたバルミューダの発表したスマートフォン=東京都港区で2021年11月16日午後3時58分、長谷川直亮撮影
報道陣に公開されたバルミューダの発表したスマートフォン=東京都港区で2021年11月16日午後3時58分、長谷川直亮撮影

 ユニークな高級家電を手がける新興メーカー「バルミューダ」は16日、同社としては初めてのスマートフォン「バルミューダ フォン」を発表した。同社は、大手電機メーカーが中国、韓国勢との競争で苦戦する中、新たな発想と機能の高さを武器に「高級家電市場」を切り開いてきた。世界の強豪がひしめくスマホ市場に風穴を開けられるのか。

成熟市場に新たな付加価値

 「今のスマホはあまりにも画一的になっている」。同日の記者会見で、寺尾玄社長(48)はそう強調した。「米アップル社のiPhone(アイフォーン)がスタンダードになった結果、他のメーカーもみんな同じようになってしまった」と述べ、「私たちのスマホは大きさやデザイン、中身が違う」とアピールした。

 自らデザインを担当し、背面は丸みを帯びた形にするなど持ちやすさにこだわったという。電卓やスケジュール管理など生活でよく使うアプリも自社で開発するなど、力の入れようがうかがえる。

 20年ほど前からパソコンを作りたいと考えており、昨年初頭に「やりたいことをする時が来た」と思い立ってスマホ参入を決めたという。

 米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載し、第5世代通信規格(5G)や非接触充電に対応。生産は京セラに委託した。通信会社を自由に選べる「SIMフリー」モデルの価格は10万4800円(税込み)で、自社のオンラインストアや直営店のほか、携帯電話会社ではソフトバンクが取り扱う。17日午前10時から予約を受け付け、26日に発売する。

 バルミューダは、工場を持たずデザインや設計を行う「ファブレス」と呼ばれる家電メーカーで、2003年に寺尾氏が創業した。

 寺尾氏は、経営者としては異色の経歴で知られる。高校を中退し、17歳でスペインやモロッコなど海外を約1年間放浪。帰国後はミュージシャンとして約10年間活動し、メジャーデビューの一歩手前までいったという。その後、20歳代後半に「ものづくり」を志し、独学で設計や製造を学んで起業した。

 当初はパソコンの冷却台やデスクライトを製造。08年のリーマン・ショックで倒産の瀬戸際に追い込まれたが、独自開発し3万円台で売り出した扇風機が「自然に近い風を再現できる」とヒットし、危機を乗り切った。

 知名度を高めるきっかけとなったのが、トースターだ。水蒸気を使ってパンをふっくらとした食感にするのが特徴で、2万円超で売り出し話題となった。

 白物家電分野は、中国や韓国メーカーの台頭で価格競争が激化し国内大手の撤退が相次いだ。だが同社は、成熟したと思われた製品でも新たな付加価値があれば市場で勝負できることを証明し、20年12月に東証マザーズ上場を果たすまでに成長した。

絶対的なiPhone、挑戦者は苦戦

 新たに参入するスマホ業界は、かつての白物家電と同様、メーカーの選別も進み成熟しつつある市場だ。

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