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「自民党なんですよ、日本は……」。衆院選で議席を死守した菅直人元首相夫人の伸子さん(76)が第2次岸田文雄政権発足の日、ため息交じりに口にした。夫は立憲民主党の最高顧問である。伸子さんはニュー自民党にエールを送りつつ、変わらぬこの国の政治風土に諦めに似た思いを吐露するのだった。
衆院本会議場で首相指名選挙が始まろうとしていた。10日午後、東京都三鷹市にある菅さん宅の大型テレビが議場を映し出す。コチョウランの香る居間で2匹のネコが寝ている。伸子さん、いきなり結論めいたことを言うのだ。「自民党の補完勢力が日本維新の会、その補完勢力が国民民主党じゃなあって感じもするけど、しょうがない。結局、自民党なんですよ、日本は……」。ずいぶん達観した物言い。「私は岡山の田舎で育ったからわかる。自民党以外に入れたことない人がほとんどみたいなところがまだまだ多いんですよ。うちは〇〇さん、とおしゅうとめさんが言えば、お嫁さんは従う。よくぞ2009年に政権交代できたものね、と思う」
あれは政権交代の翌年、早くも民主党は試練のときを迎えていた。鳩山由紀夫さんに続いて首相になった菅さんは夏の参院選で大敗する。民主党よ、いずこへ? 一夜、私は「家庭内野党」を自任する伸子さんと神田川沿いの居酒屋で飲んだ。自民党の人材難を「ボロ家」と酷評しながら、たったひとり注目する人物をあげた。「(ボロ家自民党で)すごいのは林芳正さんくらいかなあ」。そう、参院から衆院にくら替えしたばかりの林外相で…
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