ネット中傷「厳罰化なら大きな一歩、でも窃盗より軽い」花さん母

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木村花さん(右)と響子さん=2016年(響子さん提供)
木村花さん(右)と響子さん=2016年(響子さん提供)

 侮辱罪を厳罰化する刑法改正が法制審議会(法相の諮問機関)から答申され、政府は早期に改正法案を国会に提出する方針だ。SNS(ネット交流サービス)をはじめとしたネット社会に横行する中傷を抑止する狙いがあるが、社会はどこまで変わるのか。

「さらなる法整備が必要」

 「本当に大きな一歩で感謝の気持ち。しかし、法改正が実現しても、傷害や窃盗より軽い。さらなる法整備が必要だ」。SNSで中傷された末、急死したプロレスラーの木村花さん(当時22歳)の母響子さんは、侮辱罪の厳罰化が答申された感想をこう話した。

 フジテレビの恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演していた花さんは2020年、放送内容を巡って、見ず知らずの他人からいきなり激しく中傷された。「顔面偏差値低いし、性格悪いし、生きてる価値あるのかね」「ねえねえ。いつ死ぬの?」――。20年5月、ツイッターに「傷付いたのは否定できなかったから。死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思ってました」などと投稿し、亡くなった。

 響子さんは「中傷された側は、日常生活が送れなくなり、命すら落としてしまうことがある。家族、恋人、友人に悲しみの連鎖が起きる」と振り返る。

 中傷は花さんの死後も続いた。「やめて、と言うだけではなくならない」と考えた響子さんは、民事、刑事の両面で投稿者の法的な責任を追及した。東京地裁は21年5月、響子さんの請求を認め、投稿した男性に約129万円の賠償を命じた。3~4月に…

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