ネットのヘイト投稿に損賠提訴 「このまま放置できない」

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ネット上で自身を中傷する差別投稿をした発信者を提訴した後、記者会見に臨む崔江以子さん=川崎市川崎区で2021年11月18日、後藤由耶撮影 拡大
ネット上で自身を中傷する差別投稿をした発信者を提訴した後、記者会見に臨む崔江以子さん=川崎市川崎区で2021年11月18日、後藤由耶撮影

 川崎市の多文化総合教育施設「市ふれあい館」館長で在日コリアン3世の崔江以子(チェカンイヂャ)さん(48)は18日、インターネット上で繰り返し中傷を受けたとして、投稿した関東地方の40代の男性に対し、慰謝料など305万円の損害賠償を求める訴えを横浜地裁川崎支部に起こした。

 訴状などによると、男性は2016年6月、自身のブログで「崔江以子、お前何様のつもりだ‼」とのタイトルで「日本国に仇(あだ)なす敵国人め。さっさと祖国へ帰れ」などと投稿した。崔さんの請求を受けてブログ管理会社が投稿を削除すると、同年10月から約4年にわたり、ブログやツイッターなどで崔さんについて「差別の当たり屋」「被害者ビジネス」などと書き込んだ。

 崔さん側は同年6月の投稿について、ヘイトスピーチ解消法が定める「地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」を含むと指摘。その後の書き込みは名誉毀損(きそん)にあたり、それぞれ精神的苦痛を受けたと主張している。

 崔さんは21年3月に発信者情報の開示を請求し、投稿した男性を特定した。男性は崔さんとの手紙のやり取りの中で自身の行為を認めて謝罪をしたものの「仕事がなくてつらかった」などと弁解したため、反省がみられないとして提訴に踏み切った。

 川崎市は20年4月、ヘイトスピーチに刑事罰を科す全国初の「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に基づいて有識者で構成する審査会を設置。この審査会がヘイトと認定した計51件のネット上の書き込みを削除するようサイト運営者に要請した。このうち37件が削除されたものの要請に強制力はなく、残る14件にそれ以上の措置をとれないのが実情だ。

 崔さんとともに記者会見した代理人の師岡康子弁護士は「やったことに対して責任を取らせるというのがこの裁判の趣旨。削除要請だけでは問題が解決しないケースで、このまま放置できないと考えた」と話した。【池田直】

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