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留学生の受け入れ コロナで試される国際化

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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限が緩和された。今年初めから新規入国が停止されていた私費留学生も、ようやく日本で学べることになった。

 「留学」の在留資格による新規入国者は今年上半期、約7000人とコロナ前の1割に激減した。大半を占める私費留学生の足止めが影響した。

 この間、オンラインで講義は受けられたものの、実験などには参加できず、日本の学生らとの交流もままならなかった。

 門戸が開かれたことは歓迎したいが、課題も残る。

 入国を認められるのは、足止めされた期間が長い留学生からだ。政府の審査をパスする必要もあり、年明け以降までさらに待たされる人も出てくる。いつ審査を受けられるか分からない人もいる。

 今後の感染状況によっては、受け入れが進まないうちに再び入国が制限される可能性もある。

 水際対策は重要だ。新たな変異株が持ち込まれ、感染が再拡大することを防がなければならない。

 一方で、留学生を受け入れることの意義は大きい。外国人材は、日本の科学研究や経済の発展にも寄与する。母国に戻ってから各界のリーダーとなり、日本とのパイプ役を果たしてくれることも期待できる。

 状況が変化した場合も、一律に対応するのでなく、出身国での感染の広がりなどを踏まえて、少しでも多くの入国を認める方法があるのではないか。

 政府は2008年に「留学生30万人計画」を掲げ、一昨年には目標人数を超えた。だが、押し上げたのは日本語学校や専門学校であり、大学は留学生の獲得競争で欧米の主要国に後れを取っている。

 そうした中で、入国制限の長期化により、留学先を別の国に変更する動きも出ているという。大学関係者らは危機感を強めている。

 留学生教育学会会長の近藤佐知彦・大阪大教授は「留学生の多くは日本が好きな若者たちだ。困難な時こそ、ともに乗り切る姿勢を示せば、日本のファンを増やせるのではないか」と語る。

 コロナ下で、国際化を目指す日本の姿勢が試されている。水際対策と留学生受け入れを両立させる道を、粘り強く探る必要がある。

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