グリーンに染まる世界のマネー 金融市場は世界を変えられるか
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

脱炭素社会の実現へ巨額のマネーが動き出した。お金の流れを変えることで化石燃料に依存するエネルギービジネスを市場から退場させようとする潮流が背景にある。「グリーンマネー」で地殻変動を始めた金融市場は世界を変えることができるのか。
脱炭素にマネーを
「今、重要なのは行動だ。資本を低炭素の未来に投資することだ」
3日に英グラスゴーで開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)4日目の「ファイナンスデー」。議長国・英国のスナク財務相はこう述べ、二酸化炭素(CO2)の排出実質ゼロを実現するには、金融システムを根本的に変えて、お金の流れを「脱炭素」に集中させる必要があると訴えた。
CO2を削減するには、これまでの産業モデルの大転換が必要だ。COP26は石炭火力発電の「段階的削減」に向けた努力を加速させることなどを盛り込んだ成果文書を採択したほか、14日間の期間中にガソリン車の販売禁止や森林破壊の防止などを約束する多くの合意が有志国間で相次いだ。
問題は、こうした取り組みにはお金がかかり、そのお金をどこからどう集めてくるかだ。
世界の環境関連投資の総額は既に3000兆円を突破したとみられている。米ブルームバーグの集計によると、企業が市場からお金を調達する債券市場では、環境改善や社会貢献に効果のある事業資金を名目に発行する「ESG(環境・社会・企業統治)債」と呼ばれる債券の合計額が2021年は10月時点で約7220億ドル(約82兆円)に達している。その約半分が再生可能エネルギーなどの環境改善に使う「E」(環境)。「環境債」(グリーンボンド)とも呼ばれ、発行額はこの5年間で5倍近くに膨ら…
この記事は有料記事です。
残り2955文字(全文3660文字)
時系列で見る
-
ゼロエミッション船「ウインズ丸」 大村湾で実験開始 商船三井
473日前 -
石炭火力が9割の南アフリカ 脱「中毒」の先に見える希望
475日前 -
COP26、何が決まったの?=回答・信田真由美
476日前 -
ポエムと空約束しかない日本の気候変動対策 90年代と対照的
477日前 -
COP26と周回遅れの日本 石炭火力温存はリスク=信田真由美(東京科学環境部)
481日前注目の連載 -
揺れる北極海天然ガス事業 独仏金融機関、融資団から次々撤退
481日前スクープ -
SNSで拡散「ツバル水没は温暖化とあまり関係ない」は根拠不明
481日前 -
COPが誓った「脱炭素に1京円」 本当にグリーンマネーか
482日前 -
CO2資源化への挑戦
483日前 -
グリーンに染まる世界のマネー 金融市場は世界を変えられるか
483日前深掘り -
気候変動と新資本主義=山田孝男
484日前注目の連載 -
自工会・豊田章男会長「現実的な選択肢」 脱ガソリン車広がらず
487日前 -
「脱石炭」締約国の温度差深刻 COP文書、流れ明記・表現は後退
490日前深掘り -
脱石炭反映のCOP文書「妥協の産物」 締約国の溝、浮き彫りに
490日前 -
COP26「分断」印象も…問われる真価 英国は場外の「成果」強調
491日前深掘り -
COP26「化石賞」 脱炭素向け、どうする日本のエネルギー政策
491日前 -
岸田首相のイチオシ政策「ゼロエミ火力」 実効性に世界から疑問
491日前 -
石炭火力の「段階的削減」へ努力 COP26、成果文書採択し閉幕
491日前 -
石炭火発巡り水面下の交渉 英が新草案、表現後退 COP26延長
492日前