性暴力加害者に「そのときの気持ちは?」 精神状態を探り再犯防ぐ

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福岡県の性暴力加害者相談窓口では臨床発達心理士の大黒剛さん(左)のほか精神保健福祉士や精神科医ら6人がチームを組んで相談者と向き合っている=福岡県内で2021年1月21日午後4時33分、飯田憲撮影
福岡県の性暴力加害者相談窓口では臨床発達心理士の大黒剛さん(左)のほか精神保健福祉士や精神科医ら6人がチームを組んで相談者と向き合っている=福岡県内で2021年1月21日午後4時33分、飯田憲撮影

 性犯罪の発生率が全国的に高い福岡県が、性暴力の加害者や性的な問題行動に悩む人を対象とした相談業務に乗り出している。性犯罪で刑事処分を受けた人の相談窓口は大阪府も開設しているが、犯罪の有無に関係なく相談を受け付ける自治体の窓口は全国初だ。2020年5月の開設から受けた問い合わせは150件に上る。相談者の声に耳を傾ける臨床発達心理士がこの1年半を振り返った。

 「その時の気持ちを教えてもらえませんか」。福岡県内の某所。臨床発達心理士の大黒剛さん(50)は個室内で向き合った男性に語りかけた。男性は盗撮をやめられないでいる。性欲やストレスを感じる精神状態をひもとくために、言葉を選びながら質問していく。

 男性が重い口を開き始めた。「つまらない毎日に嫌気が差して」。非日常やスリルを求め、現実逃避的に手を染めてきた傾向が垣間見えてきた。大黒さんはそうした告白を否定しない。他人にさらすことをためらわずに性に対する考えを口にすることが治療の第一歩だと考えるからだ。「じゃあ次は2週間後に」。男性の思い詰めたような表情が少しだけ軽くなった。

 大黒さんは福岡県が開設する「性暴力加害者相談窓口」のカウンセラーの一人だ。人口10万人当たりの性犯罪認知件数が18年まで9年連続で全国ワースト2位だった県は19年に「性暴力根絶条例」を制定。窓口開設は条例に基づくもので、新たな被害者を生まないために加害者の更生を支えるという考えが根底にある。

 県によると、…

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