退院を模索する当事者 筋ジスは「終身病棟」か

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筋ジス病棟の患者に障害当事者が聞き取りをした実態調査について発表する「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」の大藪光俊さん(右から3人目)=2021年10月15日に開かれたオンライン記者会見から、上東麻子撮影
筋ジス病棟の患者に障害当事者が聞き取りをした実態調査について発表する「筋ジス病棟の未来を考えるプロジェクト」の大藪光俊さん(右から3人目)=2021年10月15日に開かれたオンライン記者会見から、上東麻子撮影

 筋ジストロフィーや脊髄(せきずい)性筋萎縮症など、次第に体が動かなくなる進行性の難病患者を受け入れる「筋ジス病棟」。入院が極めて長期にわたり、事実上の“終身病棟”となっていることが国の調査研究事業で明らかになった。だが、行動が制限されるなどの課題もあり、退院して介護を受けながら自立した生活を模索する動きも出始めている。【上東麻子/デジタル報道センター】

退院理由の8割超が「死亡」

 筋細胞が徐々に壊れる筋ジストロフィー、運動神経の細胞に障害が起きる脊髄性筋萎縮症は、どちらも国指定の難病で、根本的な治療法はまだない。全身の筋力が低下して体を動かすことが難しくなったり、呼吸・飲み込み・血液循環などに機能障害が出たりする。人工呼吸器を付けたり、食事や排せつに24時間態勢で介助が必要になったりするため、筋ジス病棟に長期間、入院するケースが多い。

 では、どれほどの患者が退院できるのだろうか。

 国の調査研究事業として、民間調査会社「PwCコンサルティング」が2020年度に筋ジス病棟のある26病院を対象に初の大規模調査をしたところ、退院理由の8割超が「死亡」だったことが明らかになった。

 17~19年度に退院した計591人の理由を調べると、「死亡」が490人と8割超。他の病院や入所施設に移ったのが72人。一方で、小規模なグループホームに移ったり家庭に戻ったりして地域に戻れた人はわずか26人(4%)に過ぎなかった。

 通算の入院期間を患者に尋ねた調査では、15年以上が33・0%、10~15年未満が13・8%で、10年以上が半数近くを占めていた。

 患者自身に退院したいかどうかも尋ねる…

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